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朱志香犯人説解 小説版

オリスク動画用の、文章ができたので掲載します。
細かい演出はまだ未完成。
やっと、本編を再開できそうで少しほっとしてます。
「朱志香犯人説解:存在の魔女サイド」概要(未完成)

「うー。やっぱり真里亞ホーキング苦手ぇ。 このままじゃ、一生かかっても飛べないよ~。
 ねえねえ、ベアト。 ベアトの魔法で真里亞を飛ばしてよ! その方が、無理に真里亞が頑張るよりも簡単で確実だよ~。」
「だからのぉ、それじゃダメだと言っておる。
 真里亞よ、勇気を出して自分の力だけで飛んでみるのだ。 果てしなく広がる、青く自由な空を。
 そなたはもう、鳥かごの中でエサを待つだけの雛鳥ではないのだ。」

「もしかして真里亞ちゃん、ママに自転車買ってもらったの?」
「当たり。 でも、社長でシングルマザーの楼座叔母さんに、真里亞ちゃんに付きっきりで自転車教えてやれる暇ないでしょ?。
 だから、次会ったときに自転車のコーチしてやろうかなって思ってさ。」
「つまり、自転車の練習を、ホウキで空を飛ぶ魔女修行に例えた……と。」

 ジェシが、ベアト大好き~☆な、真里亞ちゃんのために書いたというこの絵本。
 そこに描かれていたベアトリーチェは、真里亞ちゃんに優しいだけの魔女ではなかった。
 自分の魔法で空を飛ばしてあげるのではなく、あえて真里亞ちゃん自身の自分の力で空を飛べるように、叱咤激励する。
 まるで、そんな”お母さんが出来の悪い娘に対して持つ愛情”を、真里亞ちゃんに対して抱いているのが、私にはすぐにわかったのだ。 そう、それはまるでジェシと夏妃さんの関係をなぞっているように見えた。

「あれ? 最後のページに、英語で何かが書いてある。
 えっと……ディアー、リオン……? えっ、”ディアーマリア”……じゃなくて?」
「親友のヒナだから教えちゃうここだけの話。
 実はね、真里亞の本名は最初、”理御”だったらしいんだ。 楼座さんが必死で”真里亞”って名前を押し通したみたいだけどね。一体どんな事情があったのやら。 もしかして、本物の真里亞はもう死んでいて、今、私たちが”真里亞”と呼んでいるあいつは。ベアトリーチェ・カスティリオーニの孫の”理御”かもしれない。
 まあ、あいつも色々と、出生関係の謎とかが複雑なんだよね。」

 それを聞き、一瞬、納得しそうになった私だったけど、すぐに違和感を感じ、真相を聞き返す。
「はいはい。冗談は置いといて。本当は?」
 すると、ジェシはとぼけた顔でこう答える。
「あれ? バレてた?」
 当然でしょう、だって私は知ってるもの。
 それは、この世でたった1人、交換日記の共有者の私こと、ヒナしか知らない事情。

「先週、日記の中で”週刊誌どもが根も葉もないデマばっか吐いてうぜーぜ。私の出生の謎って何? 戦人に続いて、今度は私が餌食?”って散々、愚痴ってたばかりじゃないの。」
「あー、有名税って奴なんだろうな。 いい大人が、揃いも揃って、人んちの秘密暴くことに躍起になってさ、プライバシーなんてあったもんじゃないぜ。」
「本当はどういう意味なの? 教えて!」
 私がそういうと、あー仕方ないなと面倒くさそうに頭を掻きながら教えてくれた。

「DIR LIONってのは、”親愛なる子供ライオンへ”って意味さ。
 別に誰かの名前ってわけじゃないよ。
 右代宮の子供は、みんな等しくライオンなんだ。 
 獅子は、我が子を千尋の谷へ突き落とす。 でも、それは決して我が子が憎いからじゃない。
 強く育って欲しいから、あえて厳しくするんだよ。自分の子供が嫌いな親なんて、いるものか。

 あ~、でもさ。 これが例の雑誌の連中にかかれば、理御って名前の隠し子がいる事になるんだろうな、多分。
 いとこの朱志香が、真里亞の事相手にDIR LIONって送ったからってのが理由でさ。

さくたろう「理御は、朱志香であるけど、同時に朱志香ではない存在?」
ラムダデルタ「最初の意味は、右代宮の子供は全てライオンの子供。7つ目のエピソードでは、縁寿へのヒントのために朱志香と重ね合わせ描写した事により、もう1つの意味をもつようになった。」

 例えデタラメなデマでもさ、隠し子騒動と、絵羽叔母さん煽ってうちの親にけしかけるのを繰り返せば、その後で必ず本当の問題が起きる。 そうしたら、彼らにとっては大きなビジネスのチャンス。 雑誌が飛ぶように売れる事間違いないね。

 はぁ。一体、人の家庭を何だと思ってるんだろう。 でも、そんな他人の醜聞を喜んで読むような、ゴシップ好きのゲッスい読者がいるから、商売成り立ってるんだよね。
 ああ、やだやだ。

 もし、うちでミステリー小説のような殺人事件が起きたら、その時の動機は絶対に”あいつらマスゴミが、うちの家庭をメチャクチャにしたから”だよね? 昔、社会派ミステリーでそんな作品、どっかで読んだ気がするよ。
 ……って。 ヒナ、ごめん。 変な愚痴聞かせちゃって。」
「ううん。 気にしない。
 今更そんなの水臭いよ。 ジェシの家の事情だって理解してるし、同情もしてる。」

「そう言ってくれるなら……ごめんね、甘えちゃうよ。
 さて、話は戻るけどさ。
 実はこの言葉さ、昔、お師匠様……いや、熊沢さんに教えてもらった事のそのまま受け売りなんだ。
 今度は私が、真里亞にも伝えようと思って。

 ほら、真里亞の家って今、楼座叔母さんが精神的に不安定で、荒れてるでしょ?
 そんなときに、周りの変な噂に振り回されて、自分の親を疑ったり嫌いになるのは、やっぱり悲しい事だからさ。

 昔、赤の他人が雑誌で言った言葉を真に受けて、”本当の母親”探して家出した、私みたいな馬鹿にはなって欲しくない。
 多分、戦人の奴の件も、昔の私と同じだと思う。
 明日夢なんて名前さ。郵便受けに入ってたらしいラブレターと、雑誌記事以外に存在しないよ。

 それなのに、今まで育ててくれた霧江さん放ったらかして、”俺の本当の母親は明日夢だ。霧江さんじゃない”だってさ。 ははは、親不孝すぎて笑えない。
 縁寿が、凄く寂しがってるってのにさ……あのバカ。

 戦人の馬鹿のおかげで、右代宮留弗夫への攻撃材料ができて喜ぶ奴は、私の目に見えるだけでも、たくさんいる。
 別に商売敵の社長連中に限らない。 飲み屋で管巻いているような、中年太りのバーコード親父ですら相当、留飲が下がるはずだよ。

 ”右代宮の御曹司のおぼっちゃまで、女子にモテモテの留弗夫さん”。 軽くカタログスペックを挙げるだけでもチート級、この世のうだつの上がらない男ども全体の敵さ。
 女性問題なんか起こしたら、「ほれ、見たか」とばかりに、親の仇のように攻撃してくること間違いなし。
 留弗夫叔父さんいくら攻撃したところで、代わりにそいつらが金持ちになったり、女の子にもてる事なんて、絶対にないのにさ。

 話が脱線したね……。 ごめん、今まで何の話してたっけ?
 あ、楼座叔母さんの話に戻るけど、シングルマザーで、仕事と子育てを両立するのが大変なのはわかる。
 でも、うちの家族は、そんな楼座叔母さんの力になれるように、だいぶ前から救いの手を伸ばしてるんだよね。
 毎回、その手を跳ね除けて拒絶されるだけでさ。 

 多分叔母さん、昔の事をまだ気にしてるんだと思う。
 借金残して失踪した、あのろくでなしの事で、昔、実家とえらく揉めた事あったし。
 未だに人間関係のしこりが残ってる。
 私たちにとっては善意の手助けでも、楼座叔母さんにとっては、母親、あるいは社会人。いや、人間としてとして失格の烙印を押されるのと同じかもしれない。

 だから、何とかしようと思えば真里亞の方に働きかけるしかないんだよ。
 たまに、用事で六軒島に来た時に、真里亞の遊び相手になったり、悩み事を聞いてあげたりさ。
 私がベアト役やってあげてるのも、そういう理由。

 何もできない無力な私だけど、せめて傍にいてあげたい。
 大して役に立てないかもしれないけど。 それでも、ひとりぼっちで泣いてるくらいなら、2人一緒に笑ってる方が……。
 やべ。なんかスッゲー恥ずかしい事言ってる気がする、私! ごめん! やっぱ今のなし!」

 照れくささに、沸騰寸前になってるジェシ。
 こういう姿を見られるのは、多分私だけの特権。
 だって、この時はまだ、ジェシは転校してきたばかりで、サクやリンとは、まだ親しくなかった。

 ジェシって、クラスでも最初は凄く浮いていたと思う。
 突然転校してきた右代宮の令嬢という近づきがたさ。
 そして、前の聖ルチーア辞めた理由として、まことしやかに語られる”様々な噂”が、彼女の周りから、人を遠ざけていたのだ。

 でも、すぐに私は、その”噂”が本当じゃない事に気づいた。
 きっかけは、ある日偶然見つけた、校舎裏の日陰で1人、真里亞ちゃんのための絵本を書いてるジェシの姿。
 あの時の出会いは私にとって、衝撃だった。

 七色の色鉛筆で描かれてた、あのカラフルでキュートな世界。
 そこに描かれたファンタジーな生き物たちは、今にも動き出しそうなくらい生き生きとして。
 その世界を初めてのぞいた時に、私が感じた想い。 それこそが、きっと本当の彼女の本質だという、私の直感。
 ”こんな美しいものを描ける子なんだ、悪い子のはずが無い”。
 思い切って、勇気を出して実際に話してみることで、それはすぐに、その直感は確信へと変わった。

 私は、ある日、勇気を出して、ジェシに声をかけてみる事にした。
「あのぉっ! 私と、お友達になりませんか!」

 それから、私たちは、しばらくずっと2人でいるようになった。
 一緒にお昼ご飯を食べたり、中庭のベンチでおしゃべりしたり。
 サクとリンはまだいないから、私がジェシをずっと独り占め状態だった。

 よく考えたら、これって凄い事だったと思う。
 だって、何のとりえもない平凡な1少女が、あの右代宮家のご令嬢と2人っきりなんだよ?
 少女漫画でも、話が出来過ぎて編集にボツを食らいそうな展開よね。

 しばらく私たちは、一緒に魔女同盟の秘密を共有しあって、交換日記をかわした。
 その中で、私は少しずつ、彼女の本当の真実に近づいていった。
 まぁ、偉そうに言えるほど、全てを知ってるわけじゃないけど。 ただ、前よりは確実に本当のジェシの真実に近づけている。
 そんな気がした。 ただ、それだけ。

 孤独な真里亞ちゃんのために、頑張って絵本を書いてあげるジェシ。
 絵本に込められたメッセージから見えてくる右代宮家が抱える問題と、それに対する彼女の想い。
 そして、右代宮家にまとわりついて、デタラメな事を言いふらすような、薄気味悪い人たちがいるという事。

「この絵本があれば、真里亞ちゃんはひとりぼっちじゃないよね。
 だって、ここにはジェシの言葉がいっぱい書いてある。 色んな気持ちがたっぷり込められてる。今にもあふれ出しそう!
 例え、遠くに離れ離れになったとしても、ページを開けばいつだって、そこに大好きなジェシがいる。
 これって、魔法みたいだよね。 そう、例えるならまるで、黄金の魔女によって紡がれた”幸せの魔法”!」

 私としては、思いの丈を、ありのままにぶつけたつもりだった。
 でも、ジェシは、呆気にとられたような表情で、ただ茫然としていた。

「ごめんヒナ。 そのセリフ、さっきの私より恥ずかしい。」
 瞬間、私の中で爆発した。 色んなものがボカーンと弾け飛んだ。
「ああっダメ! 恥ずかしすぎる、黒歴史すぎる!
 なんかもう私、死にたくなった~~!」

 一人で自爆して、のたうちまわって悶絶する私。
 そんな私の滑稽さに、クスッと笑うジェシ。

「でも、ありがとう。 今のヒナの言葉、凄く気に入ったよ。
 確かに、この絵本は魔法だよね。 何もできない無力な魔女に使える、たったひとつだけの魔法。」
「でも、それは、とても暖かくて、かけがえのない魔法だよ。 決して無力なんかじゃないよ! 偽物でもないよ!
 ジェシは、立派な本当の魔女だよ。
 真里亞ちゃんのために生まれた、この世にたった一人の本物のベアトリーチェだよ!」

「あうぅ、重いな……。あまりに責任が重すぎて、押しつぶされそうだ。
 だってさ、真里亞の傍にいてあげる事しかできない、こんな私だよ?」
「うん! それでも!」
「それどころか、たまにしか、傍にいてあげる事すらも出来ないんだよ?」
「でも、この魔法の絵本があれば、2人はいつも……。いつだって一緒。 例え、どれだけ離れていようとも」

 ジェシは思ってる。 自分なんかが”黄金”なんて名乗るのもおこがましいって。
 ただ、あの子の傍でベアトリーチェとして”存在”するだけで精いっぱいの、情けない魔女だって。

 でも、多分真里亞ちゃんには、即座に問題を解決するような、強力な魔法は要らないと思う。
 それよりも、ただずっと傍にいて、優しく笑ってくれる”存在”の方が、大切だから。
 辛い時、悲しい時に一番必要なのは、そう。
 それを受け止めてくれる、誰かの温かい胸のぬくもり。 受け止めてくれるジェシがいれば、それだけで……!

 例え、離れ離れになったとしても、ジェシには魔法があるじゃない。
 伝えたい想いを絵にして、言葉にして。 幸せを願う祈りを魔法に込めて、希望のある未来を一冊の絵本に紡ぐ。
 そうすれば、絵本を通じていつだって、あの子に言葉をかけてあげられる。
 とっても素敵な、”存在”の魔法が!

 解説TIPS『存在の魔女ジェシカ・ベアトリーチェ』
 最初は、ただのごっこ遊びの相手でしかなかった、偽物の魔女。
 でも、その想いを魔法にして絵本に込める事で、いつでもずっと真里亞の傍にいてあげられるようになった。
 その事が師匠ワルギリアに認められ、ようやく正規の魔女への昇格を果たす。


「朱志香犯人説解:魔女裁判サイド」概要(未完成)
 ハンドルネーム古戸ヱリカの書き込みがもたらした、今のネットでの惨状。
 右代宮朱志香の人格、人間性を貶める言葉による魔女狩り。
 それも、遊び半分の低俗なコラ画像と共に広がって。

『すっげー、つまり金蔵は孫娘とパコパコやりまくってたと。で、これがそれを再現したコラ画像ってわけね。』
『クオリティタカスクリニックwww! 神画像乙。』『これの素材って、確かあの近親相姦ものAVだよな。』
『紗音の腹を掻っ捌いて、戦人の子供がいるか探した後で、島を爆破し、証拠隠滅。
 ヤンデレにも限度www。』
『おいおい。その後で、紗音に濡れ衣着せるための犯人の痛い小説を書いて、完全犯罪の自称魔女様(笑)を、これ以上虐めて差し上げるなwww。』

 私は、ネットに広がる朱志香犯人説騒動の事を調べるために、その発信源に向かった。
 それはゲロカス速報。 匿名掲示板の書き込みの転載まとめをしてる、ネットで有名な人気ニュースブログだった。
 どうやらこの騒動は、このブログが、匿名掲示板のコテハン、古戸ヱリカの書き込みをまとめて、記事にした事で、ネット中に広まったのが原因らしい。

 そこには、ジェシに対して嘲り、罵るような酷い言葉ばかりが飛び交っていた。
 ジェシの事を、同じ人間だと思っている人は、多分この中に一人もいなかった。
 私の心を、思い出を抉るように、ザクザクと突き刺さる言葉の刃。
 ドクドクと、流れ出て止まらないのは、私の血?
 それとも、涙?
 痛い痛い痛いっ。 やめてっ、やめてっ。
 もう、やめて! 

 激しいめまい。 目の前の世界は、ぐにゃぐにゃと歪んでいる。
 今にも気を失いそうだった。
 それでも、私は逃げない。 なんとかこらえながら、何度も何度も吹き飛ばされそうなのを、必死でしがみつきながら、情報を漁り続ける。
 だって、こんなのあんまりじゃない……。
 酷すぎるよ。 何で? どうして、こんな……。
 放ってなんか、おけない。 

 別に、これは今日始まった事じゃない。
 六軒島事件が起きて以来、ずっと繰り返されていた事だった。
 ただ、いつもと違って、今日の私は逃げなかった。
 だって、ここで逃げたら、私。 認めてるのと、同じじゃない……。
 あいつらが言ってる事を全部。 それが、どれだけ残酷な事かわかってるの?

 私たちの高校生時代に起きた、あの事件。
 あれ以来、私たち4人の友情の絆は引き裂かれた。
 まるで、パンドラの箱を開けた時のように、どす黒い”右代宮の真実”が、世界中に広まった。
 それらはすべて、とても”真実”とは言えないような恐ろしい形の
 幻想だった。

 私は、それが全て嘘だって、わかってた。
 でも、それを黙って見ているだけだった。
 酷いよね? 冷たいよね? それでも親友なの?
 どうして、親友なのにそれを黙って見てるの? 何で、何も言い返そうとしないの?
 あの時以来、私は……私は……。
 そうだ。私はずっと逃げてたんだ。 だって怖いから。 右代宮家や、ジェシの味方をし続けるのが怖いから。

 ジェシが、容疑者として槍玉に上げられて、私は初めて、自分の罪を突き付けられた。
 そうか。 今まで私は、絵羽さんや、紗音や、霧江叔母さん、留弗夫叔父さん、そして戦人君が犯人として疑われていた時、心の底でこう思っていたんだ。
 ”疑われるのが、ジェシじゃなくてよかった”って。

 酷いよね。今、私が思ってるのと同じことを、きっと彼らの友人の人たちは思って、ずっと苦しんでたんだ。
 絵羽さんと縁寿ちゃんが、ああなっていても私は声を上げなかった。 
 霧江犯人説、留弗夫犯人説、戦人犯人説……。 次々と、自分の身内ばかりが容疑者に挙げられた縁寿ちゃんはどういう気持ちで、敵だらけの孤独な世界を生き抜いて、どんな悲しい最期を遂げたの?
 そうか……、今、目の前に広がる光景。
 これは、そんな卑怯な私への天罰なんだ……。

 だから、耐えなきゃ駄目なんだ。
 どれだけ痛くても、苦しくても負けちゃダメだよ。
 屈服なんか絶対にしない。
 こんなの絶対に、否定しなきゃ!
 だって、私はジェシの親友だから!
 親友が悪く言われてたら、親友の私が反論しなくて、他の誰があの子の”真実”を守ってくれるの!?

 少し調べ始めて、私はある違和感に気づく。
 それは、古戸ヱリカの書き込みと、掲示板住民の温度差。
 そして、元スレと、ゲロカス速報のまとめ記事にもまた、酷い温度差がある事だった。

 ゲロ速だと、2つ目の考察について、当たり前のように、朱志香が金蔵と近親相姦だ、肉奴隷だって解釈で広まってるけど……。
 一度ゲロ速まとめの印象を切り離して、原文そのものだけを何度も読み返して初めてわかった。
 そんな記述など、どこにもなかったことに。
 ただ、『真里亞と金蔵のために、ベアトリーチェ役をした』事について考察してあるだけだった。
 そしてそれは、私が交換日記を通じて知っている情報と、全く同じだったのだ。
 違うのは、それを読んで、”朱志香が右代宮家を皆殺しにした説”だと飛躍させて、大騒ぎする人たちが大勢いるだけだった。

 元スレのログを辿っても、別にゲロ速で流れているような話だけをしているわけではなかった。
 それどころか、『ベアト役をする=魔女になって大量殺人』という脊髄反射的な反応は時期尚早だと、違和感を上げる声も一部にあったほどだった。
 つまり、結論として、ゲロ速がまとめていたのは、ある一部のベクトルを持った書き込みだけだったのだ。
 それは、『殺人の犯人が朱志香である事を前提に右代宮を悪く言う』書き込みだけ。
 そうでない書き込みは、ほとんど無視されていたのだ。

 何よこれ? これだけの騒動になってるんだから、もっと信ぴょう性のある情報だと思ってたのに。
 情報ソースは、ただネットの書き込み。
 その解釈すらも、それが書き込まれた掲示板の物とは違い、ゲロ速管理人の独断で、一方的に『魔女ジェシカ・ベアトリーチェ』を断罪する偏ったもの。
 ここのコメント欄の人たちは、どうして、こんないい加減な情報だけで、他人をつるし上げたり、扱き下ろす事ができるの?
 その情報が、もしかしてガセかもしれないって事を、@どうして考えられないの?

 そして、コメント欄だけの問題では済まなかった。
 ツイッターで拡散されることで、次から次へと、物見高い野次馬の人たちがゲロカス速報にやってくる。
 そして、情報ソースもろくに調べないような人たちにより、周りの書き込みや、昔から何となく持っていたイメージだけの知識で、酷い書き込みばかりが量産されていく。
 中には、アダルトビデオを使った気持ち悪いコラージュ画像を作って喜んでいる人たちまで。

 これじゃ、同じじゃないの……。
 何が起きているか、やっと理解したよ。
 学生時代のあの頃、交換日記の中でジェシが愚痴ってた事。 あれが、そのまま本当に現実に起きてしまったんだ……。

 変なゴシップ週刊誌と、それを鵜呑みにする人たちのせいで、右代宮家がメチャクチャになって滅ぼされた。
 今度は、その犯人像を巡って、変なゴシップブログと、何の疑問も感じない人たちによってまるで”魔女狩り”としか言いようがない騒ぎになって、また右代宮家の名誉や尊厳を貶めはじめている。

 私は、ゲロ速の情報を一度考えから外して、古戸ヱリカの書いた原文だけを読んで、自分の頭で1からその意味を考え直すことにした。
 別に、元の書き込みが真実だというわけじゃない。 ただ、古戸ヱリカの書いた原文には不思議と私が持っている記憶と一致する点が多かった。
 もし、彼女が”朱志香=殺人犯”という認識を持たずにこれを書いたのならば、ほとんど私の知っている事と同じ。
 ゲロ速の情報とは違って、何か真相に近づくための役に立ちそうな気がした。、
 だから、私はその一致する点について、色々すり合わせてみる事にした。

 読み返している最中に、最初に思い浮かんだのは、真里亞ちゃんの笑顔だった。
 不安定な家庭の中で、孤独の中で一人、いつも泣いている。
 そんなあの子のために、大好きな魔女ベアトリーチェとなって、優しく傍で微笑むジェシの姿。

 小さい子の前で格好つけるために、これから魔法を見せてやるって言ってへたくそな手品なんか披露して、失敗して。
 逆に真里亞ちゃんに気を使われたりなんかして。 そんな間抜けでずっこけた姿だった。
 確かに、ジェシらしい空回りっぷりだわ。と、想像の中で失礼な弄り方をする私。
 でもね。 その中の真里亞ちゃんは、明るく笑っていたんだ。

 次に思い浮かべたのは、安らかな表情の金蔵氏だった。
 私の想像では、多分、彼の世界には自身の成功を妬む敵と、その力を恐れ、ひれ伏すだけの奴隷しかいなかった。
 心の内を本音で話せる相手も、恐らく源次さんや、南條さんといった、一部の身内だけ。
 失ったベアトリーチェの過去に囚われて、肖像画の前でボロボロと泣き崩れる事だけが、晩年の彼にとってただ一つの癒しだった。
 そんな元気のない金蔵お祖父さまを見て、ジェシは思った。
「私が慰めてあげなきゃ!」
 そう思ったジェシは、館中のドレスや化粧品を漁って、なんとかベアトに見えるようにと、必死で変装。
 ガサツなあの子の慣れないお化粧。美人になるんだと気合入れ過ぎ、空回りの結果が厚化粧。 

 あ、そうだ。 あの気難しいお祖父さまに会うんだ。 やっぱりご機嫌取りの手土産は必要かなあ?
 源次さんから「手作りのクッキーでも持参すれば」と、アドバイスを受けてクッキーを作るのはいいんだけど……。
 失敗して丸コゲになったクッキーの前に落ち込むも、なんとかコーヒー味という事で誤魔化せないかと思考を巡らせる。

 もちろん、そんなジェシが金蔵氏に門前払いを食らうのは当たり前だった。
「私の愛するベアトリーチェを、下手な仮装で愚弄するつもりか!」てな具合で。
 でも、そんなジェシの努力を陰で見ていた熊沢さんは、そんな金蔵氏に抗議するんだ。
「あの子が、落ち込んだあなたを慰めるために、どれだけ頑張ったのか。あなたには、おわかりにならないのですか!」
 この辺りのやり取りは、多分エピソード6で書かれた通りだと思う。
 ベアトを失って落ち込む戦人は、そのまま金蔵氏に置き換えられるのだ。

 ベアトを失って悲しいのに、寂しいのに……目の前の孫娘を、ベアトと同一視できない。
 妥協して、好意に甘えて飛びつけば、すぐに楽になれるはずなのに。
 なぜなら、それは一途な彼にとっては、ベアトリーチェを裏切ったことになるから。

 ここまで考えて、私は確信した。
 ここまで一途で誠実な男の人が、右代宮金蔵が、醜い欲望のために誰かを慰み者にすることなんて、あり得ない事を。
 もしゲロ速に書かれてるような金蔵氏ならば、目の前に飛び込んできた美味しそうな据え膳を、放っておくはずがない。

 もちろん、私の解釈が全て正しいとは限らない。
 でも、もし最近沸いた噂の通りに、ジェシが黄金の魔女だったのなら。 メッセージボトルの作者なのならば。
 こっちの方が、私の知ってる右代宮家の、何よりもジェシの姿に近かった。
 この方が、私にとって自然な”真実”だった。

「それにしても、このまとめ記事、酷い。
 試しに元スレ読んでみたけど、肉奴隷説なんてのは、スレの書き込みのほんの一部。 たった2,3人の解釈で。
 なのに、この記事をまとめた人のフィルターごしだと、それがネット全体の意見って事になって。
 コメント欄の人たちは、みんなそれが”真実”だって前提で話していた。

 例えば、このまとめでは、ジェシが襲ってくる変態の金蔵を殺した事が、エピソード5の蔵臼の事業失敗シーンに繋がったんだって、無理やり関連あるようにこじつけてある。
 これもまた、スレ住人の数人のレスだけ貼り付けて、それがスレッドの総意のように見せてる。
 これってジェシだけじゃない……。
 金蔵氏や、蔵臼おじさんまで、まとめて侮辱してるよね。
 前に娘から、最近のネットは、業者の炎上商法とか対立煽りばかりで嫌になるって聞いたけど、こういうサイトの事なの?

 あと、ゲロ速で人気ある7つ目。
 世の中にどれだけ、三角関係のもつれについてのゴシップ記事の需要があるのか再確認させられた。
 古戸ヱリカの書き込みにあったのは、ただ紗音が、ジェシの見栄っ張りのために、お付き合いで男装した時の話。
 それに、嘉音はジェシのコンプレックスを紗音に投影した姿だとか、嘉音は紗音の事を嫌いにならないための魔法とか書いてあった。
 文化祭の変装ねえ……あの時居合わせた私は、思ったよ。 あんたら本当、仲いいなって。

 だってさ。あの関係って、どっちか片方が相手を嫌ってたら、絶対に成り立たないよね?
 紗音が、嫌いな相手のためにわざわざ男装なんてしないように……。
 ジェシだって、嫌いな奴の男装姿を、友達の前で「これが自分の彼氏なんだ」って紹介して、見栄なんか張るわけが無いじゃない。

 確かにジェシが紗音に対してコンプレックス抱いてたのは本当だった。
 でも、それはガサツな女子が、おしとやかな娘に対して抱く、「私ももっと女の子らしくなれたらなあ」って奴だよね?
 古戸ヱリカの書き込みの「紗音の事を嫌いにならないための魔法」って言葉を、どんな風に飛躍させたら、ああなるの?

 それは、多分エピソード4の縁寿ちゃんとマモンの関係と同じだった。
 絵羽さんを嫌いにならないために生まれたのが、マモン。
 片方は、恋のライバルだけど、目に入れても痛くないくらい大好きな、かわいい親友のメイド少女。 もう片方は、みんなを殺した犯人かもしれないけど、でもたった一人の生き残りの肉親。

 きっと、どっちも相手の事を絶対に嫌いになっちゃいけないと思った。
 だから、生まれたんだ。仲のいい関係を、ずっとずっと保つための魔法が。
 多分その重みは、外野の人間が面白半分に玩具にしちゃ、いけない種類の物だと私は思う。

 どうみても炎上狙いの曲解記事。掲示板から転載するコメントだって、ゲロ速管理人にとって都合のいい悪意に満ちた物ばかり。
 でも、コメント欄の人たちにとっては、それは全て”真実”だった、

 そして、そんな虚偽に満ちた不誠実な”真実”をつなぎ合わせて生み出された、歪められた右代宮朱志香像。
 本来の彼女の原型を全くとどめない異形の姿は、例えるならギリシア神話に登場する怪物、キマイラその物だった。
 全然ジェシとは思えない頭部と、@全く他人の物でしかないような腕と、1つたりとも共通点がない胴体と、そこら辺で拾ってきた適当の足を、無理やりセロテープか何かでつなぎ合わせて、ひどく不格好な姿で、でっち挙げられている。

 ゲロカス速報のまとめ記事を受けて、コメント欄で生まれた『祭り』という悪ふざけは、言葉を失うほど酷かった。
 アダルト画像コラもだけどさ……。それ以上に、
 「黄金の魔女様(笑)の人物像を、俺らで推理してしようぜ!」って何?
 どうして、一度も会った事がない人の本性が、あなたたちにわかるの?
 頭の中の勝手な想像だけで、どうして言いきれるの? 

 どうして、よく知らない人の事を……。一度も会った事のない相手を、ここまで悪く言えるの?
 多分、私たちが悪いんだ。
 エスカレートしてこうなるまで、ずっと放置したままだったから……。

 確かに、あの事件以降、世間では右代宮家ってのはいくらぶっ叩いても誰にも文句を言われない、まるでサンドバッグのような存在だった。
 世間で、よく耳にした言葉。
 今の不況は右代宮不況だ。 政治が悪いのは、右代宮家が昔、政府と癒着していたせいだ!

 特に深く考えなくても、世間で何か問題が起きれば、とりあえず右代宮の事さえ悪く言っていれば、全てが丸く収まるようなそんな風潮が確かにあった。
 だってあの事件の顛末は、全てにおいて印象の悪い事だらけの事件だった。
 だから、世間に何を批判されても仕方がない事くらい、私にだってわかってた。

 でも、昔から納得できない事があった。 そう、それはここにいる奴らみたいな奴の存在。
 知らない噂に勝手に首を突っ込んで、聞きかじりの知識だけで、平気で人の悪口を言える人たち
 誰にも文句を言われなければ、反論されない相手になら、何をしてもいいと思ってる奴らの事だった。

 もし、仮に……百歩譲って、ジェシがあんたらの言うような人間で、殺人の犯人で!
 他人に、濡れ衣着せるような奴だったとしてもよ?
 魔女とか、悪魔とか、現実と空想の区別もつかないようなメンヘラ女だったとしても!

 それでもさぁっ!
 あんたらのしてる事って、本当にまとも?
 相手が悪い奴なら、何をしても正義なの?
 それが、本当に人の心を持つ、まともな人間のする事なの?

 相手は女性なんだよ? よく、平気でゲスい妄想なんかして純潔を弄べるよね?
 ジェシにだって、友達がいるんだよ。 今でも、あの頃のアルバムを。
 交換日記のノートだって……、捨てずに残してる、私みたいな馬鹿がさ。

 ジェシだけじゃない。 蔵臼伯父さんにだって、夏妃伯母さんだって。
 金蔵さんだって、真里亞ちゃんだって……。
 右代宮家の誰にだって、今でも大事に思ってくれている、かけがえない人たちがいるはずなんだ!
「あんたらの言う”真実”って言葉さ、軽すぎなんだよ……。」

 目の前で延々と繰り広げられる魔女狩りの狂宴。
 掲げられるのは、無断で改変し脚色された、曖昧な大義名分。
 人気ブログが言ってる言葉だから”真実”。 周りのみんなが口を揃えて言ってるから”真実”。

 元々のソースがネットの書き込みなのに”真実”。 更に、それをアクセス狙いで改変したものでも”真実”。
 昔、テレビや週刊誌でみんなが言ってたんだ。 俺は見た事ないけど、きっと”真実”なんだろうな、多分。
 まるで、『犯人はヤス』という言葉を知ってるってだけで、『俺はポートピアの事を、全て理解してるぜ』みたいな傲慢さ。
 なんていい加減な根拠なの? それでよく、他人の事を”あいつは何されても残当のクズだからおK”なんて言えたよね?

 例えるなら、それは”真実”という名前のついた書物ならなんでも飛びつく黒いヤギ。
 書物に何が書かれていようとも関係なし。 よく味わいもせず丸飲みにして、味の感想を聞かれたら、周りと同じ言葉を口にすれば、それでいいと思ってる。
 そんな”真実”の名の下に、嬉々として”魔女”を狩る者たちの蛮行。
 私にとっては、彼らの方が、魔女ベアトリーチェなんかよりも、ずっと恐ろしい化け物のように見えた。

「ねぇ、あんたらさ。鏡って見た事がある?
 そんなに”悪”を倒して”正義”気取りをしたいならさ、一度鏡で自分の顔を見た方がいいよ。
 きっとさ。 あんたらが求める、”最凶最悪の悪魔”の姿が、
 この世で最も醜い物の姿が、そこには映ってるはずだよ?」

 ベルンカステルは、そんなヒナの激昂を、黙ってずっと後ろから見ていた。
 別に、何か一言突っ込むわけでも、深い感慨を得るわけでもなく。
 しかし、ヒナが”鏡”という単語を出した時、ようやくハッと反応を見せ、そして一言、こう呟いた。
「これって、”朱志香犯人説8”で、戦人が言ってたセリフと、全く同じよね?」

 解説TIPS『流言の魔女ゲロカス・ヱリカ』
 真実の魔女古戸ヱリカの名を騙る、偽物の魔女。 いつもペットに黒ヤギを従えている。
 彼女のブログに書かれた”真実”は、そのどれもが黒ヤギ好みに過激でネガティブな味付けをされた物ばかり。
 彼女の日課は、魔女裁判と称して、ターゲットの人間としての尊厳を黒ヤギたちと共に貪り続けること。
 最近、六軒島事件の事を取り扱い始めた。

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テーマ : うみねこのなく頃に
ジャンル : ゲーム

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魔導書の魔女カスミ・スマデーラ



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黒き幻想に立ち向かう男「白川」

ようやく、現実社会も六軒島事件の真の問題に気づいて来たという話。
今気づいたけど、白川、赤坂、黒木と、関係者の名前の最初の文字が、全て、色だw。


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動画用の文章、決定稿に近づいて来た。

最初に動画にするのは、いわゆる、解答編の核の部分だけにしておく。
こんな、他所で聞いた事無いオリジナルな解釈、果たして何人着いて来てくれるか。
完全版をアップするには、最初の動画で考察の大前提の部分が受け入れられるかを確認してからかな。
マリアージュ・ソルシエールとジェシヒナの関係も、正しく理解されるかわからないし。

*stz001
csp -1
E_A
\
bgm1 32
bg black,1
bg Mhal_3a_42
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 ハンドルネーム”ドラノール”により投下された”ドラノール文書”。
 それは、かつて六軒島事件が起こる何年も前からブラックジャーナリストの黒木という男が、反右代宮金蔵派閥に雇われて週刊誌に右代宮家のスキャンダルをリークしていたという情報だった。
 そのスキャンダルには明らかな捏造も含まれており、@事件1年前に蔵臼氏の出した大損失も、彼らの人脈の人間が蔵臼氏を陥れるために仕組まれた詐欺であるということも添えられていた。
\
「”事件前が起こる何年も前から”ってのがポイントだな。 つまり、六軒島事件が起きたから、それまでの右代宮家の都合の悪い真実がバレたのではなく……。」
「事件が起きて右代宮に疑いの目が向いたせいで、誰かの捏造した嘘のスキャンダルが、”真実”として当然のように語られ始めた……。」
\
「六軒島事件において、本当の問題はやはり。」
「ああ、そうだ。 さっき俺たちがここで話していた考察とも合致する。」
\
「右代宮家を貶めて、得をする人間により、情報が歪められていた事。」
「要するに、俗にいう”偏向報道”の問題ということだよな……?」
\
 避難所板のウィッチハンターたちは、ドラノール文書の告発を拒絶せず受け入れてくれた。
 こんなにもオカルト陰謀論じみた、絶対に誰も信じないような”真実”を。
 何故なら、彼らも真実の歪曲により居場所を追われた者達だからだった。
\
 ここ、”ウィッチハンタースレ避難所”は、世間の”古戸ヱリカ文書”の解釈”朱志香犯人説”に懐疑的な者の集まりだった。
 そして、そのほとんどは、ゲロカス速報(通称ゲロ速)の偏向まとめにより大量に流入してきた”まとめ民”により、”ウィッチハンタースレ本スレ”を追い出された、”元、本スレ民”。
\
 彼らは、”古戸ヱリカ”文書に対して、ゲロ速がまとめたまとめ記事の、”ウィッチハンター達が朱志香犯人説で盛り上がってる件WWW”とは、異なる解釈を持っていた者たちだった。
\
 本スレには、元々は”古戸ヱリカ文書”に対して多様な解釈や考察があった。
 しかし、ゲロ速がスレ内の、ある特定の立ち位置の意見だけを恣意的に抽出し、まるで本スレ全体が、全員同じ意見であるかのように主張し始めてから、おかしくなった。
\
 「お前、魔女を庇うつもりか? さては魔女に買収されたんだろ?」
 「いや、俺はただ、古戸ヱリカ文書の第二章の解釈が必ずしも、金蔵による近親相姦じゃないって言ってるだけで……。」
\
 ”古戸ヱリカ文書”の文中に書かれていたのは、魔女伝説という幻想を通じての、祖父と孫娘のスキンシップ。
 それだけの話なのに。
 どうして、近親相姦説以外の解釈をしただけで、魔女に買収されたことになるのか。
\
 彼らは、ゲロ速を鵜呑みにし”魔女狩り”断罪に盛り上がる大勢の”新参者”から見れば、”排除されるべき異端”だった。
 だから、本スレから追放された。
 今、避難所板にいる彼らの方が、本来の本スレ住人だったにもかかわらず。
\
 「本人乙。」「自作自演痛すぎW。」
 「何で朱志香が多重人格じゃないって言っただけで、自作自演なんだよ!?」
\
 多重人格じゃなくても、普段と違う自分を作る事はできる。
 例えば、職場にいる時と、家にいる時。
 会社では管理職で、部下に『部長』という役職名つけて敬語で話しかけられ、それに対して上司として威厳をもって接する。
\
 『部長』という仮面をつけて、職場のみんなが期待する『部長』として振舞うわけだ。
 例え、その『部長』が、家庭では奥さんの尻に敷かれて、ゴミ出しや風呂掃除要員だったとしても。
 休日、子供に「遊園地に連れてって」とせがまれながらも、面倒くさそうにソファーに寝そべってプロ野球観戦するグータラ親父だったとしても。
 職場では、頼れるリーダーとして活躍していたはずなのに、『部長』という仮面を外せばまるで別人。
\
 「ベアトリーチェってのはな、こうも解釈できるんだぞ!」
 そう、頑張って説明をしたものの反応は芳しくなかった。
\
 「話を逸らすな」「殺人犯と一般家庭を一緒にするな」
 「魔女を名乗った殺人犯が、わけわからん文章ボトルメールで流してるんだろ? 多重人格に決まってるだろうが!」
 「もしかして、お前も朱志香の人格の一人じゃないだろうな?」「絶対そうだ!」
\
 強い思い込みと一方的な決めつけによる”魔女狩り”の前では、どんな反論をしようとも、まず話すら聞いてもらえない。
 疑問を挟むことすら許せなくて。会話が成り立たなくて。
\
 気が付けば、真面目な考察や議論をしたい人間は本スレから追いやられ、いつしかみんな外部掲示板に集まっていた。
 この避難所はそんな成り立ちでできたコミュニティだった。
 彼らは元々右代宮に攻撃的ではない人たち。 そして、今回の件でゲロ速というブログやそこの住人の持つ欺瞞に薄々感づいていた。
 だからこそ、世間の主流と相反する”右代宮は悪ではなく、むしろ被害者である”という意見が、他所よりも受け入れやすい土壌があったのだ。
bgm1 124
\
「右代宮家の、特に蔵臼氏は、事件前から常日頃のように風評被害を受けていたのか。
 なるほど、それでか! 色々な事業に、一番真っ先に目を付けて置きながら毎回、事業が頓挫して撤退していた理由は。」
「ドラノール文書に、『蔵臼氏の事業計画と、スキャンダルの起きたタイミング』について細かい時系列の表が載ってるけどさ。
 これ鵜呑みにすると蔵臼氏が何かしようとしたタイミングで、毎回わけのわからない怪情報が『週刊虚実』にスクープされてたって事になるな。」
\
「ガートルードってコテハンが週刊虚実の右代宮関係記事のスキャン画像上げてるから見てみ。」
「少なくとも、週刊虚実の報道内容に関してはドラノール文書の通りだって、よくわかる。」
\
「グルメランド計画を潰した記事についての記述が、気持ち悪いな。
 蔵臼氏が、食品分野で実績がある秀吉氏と組んで、共同でグルメランドを立ち上げようとした矢先に、『週刊虚実』で”蔵臼氏による、秀吉氏の会社の乗っ取り計画”みたいなデマが流れて、そのせいで計画はオジャン。」
\
「共同事業で右代宮同士に組まれると、反右代宮の人間にとっては都合が悪い。
 だから、捏造記事で仲違いさせて、それを潰した。」
「絵羽氏が蔵臼コンプレックス持ってるのを利用したんだろうな。
 ただでさえ、『兄と違って私は女だから不当な扱いを受けている』みたいな被害妄想持ってる奴が、『兄が夫の会社を乗っ取ろうとしている』って話を聞いて、仲良くできるわけが無いからな。」
\
「六軒島事件の動機は、右代宮家の資金不足だって話を聞いたことあるけど、その資金不足の原因が『反右代宮金蔵派閥』『黒木』『週刊虚実』の三者が仕組んだ捏造スキャンダルのせいだっていうのなら、気味が悪いな。
 『週刊虚実』は、自分の報道によって困窮して@破滅した相手を、事件の報道の時に更にバッシングしてた事にならねえか?
\
 『調子に乗って落ちぶれた貴族が、最後は金の取り合いで破滅したんだ~』みたいな、いかにも嫉妬深い負け組サラリーマンが好きそうな記事を、あいつら嬉しそうに特集してたぞ!
 もし、その落ちぶれた原因が自分達の偏向報道のせいだって事を、@自覚した上でやってたなら……。」
\
「待てよ、お前ら。
 何も、黒木や週刊虚実が直接右代宮の連中を殺したわけじゃないぜ。
 実際に事件が起きたのは、右代宮の人間同士が、実際に殺し合ってしまったからだ!
 他の誰でもない、右代宮の人間の肉体が、凶器を持って殺人を実行したんだ。
 チップを埋め込まれてリモコンで操られてでもいない限り、彼らが自発的に”殺人”を犯した事を、他の奴らのせいにはできないぜ。
\
「でも、動機は、こいつらの偏向報道だろ!?
 今までずっと不仲だと言われてきた長男一家と長女一家が、やっと歩み寄った事で始まった共同事業を、わざと両者を仲違いさせるようなスキャンダルで潰して……。
 お前、これ見てもそんなこと言えるのかよ?
\
 ただ、仕事の失敗でお金を失っただけじゃない。 親戚同士の仲違いの種まで植え付けられたんだぞ!
 何だよこれ。事件報道の時によく言われてた殺人動機の『資金不足』も、『一族間の不仲』も……。
 動機をほとんど全部、こいつらの悪行のせいだって事で説明できるじゃねえか!」
\
「同感だ。
 蔵臼氏と絵羽氏の対立を、わざわざ煽るような報道を、最も積極的にやってたのが、週刊虚実だからな。
 まるで、右代宮同士を潰し合いさせるためのリモコンだよな、あいつら。
 受信用のチップは、それまでの偏向報道で既に埋め込んである。 後は、あいつらがいつ、どのタイミングで起爆させるかってだけの話。」
\
 「情報操作で兄弟間の憎しみを煽って、信頼関係を壊して。 同じ口で事件後に今度は『身内同士、憎み合うなんて、右代宮の奴らって怖いよね!』ってふざけたノリで特集して……。
 本当に、人間なのかこいつら?
\
 完全に自分のせいだって自覚してるから、事件の動機を完全決め打ちで書いても外れないし、他の全週刊誌を出し抜いて、一番乗りの大スクープ!
 それも、右代宮バッシングだけにメチャクチャ偏った、バランス感覚全くなしのマイナー誌が。
 こんなの、真犯人が『私が右代宮を滅ぼした犯人でーす!』って、手を上げて告白してるようなもんじゃないか。」
\
「事件直後に、何も考えずにこいつらの意見に追従した他のマスコミも問題じゃないの?」
「まあ、仕方ない面もある。事件起きた時のシチュエーション最悪だったしな。
 消滅した六軒島。 一人だけ生還した右代宮絵羽。 こんな状況で、”最も右代宮に詳しい報道機関”の言葉を信じるなって言っても、そりゃ無理だ。 俺だって、そうだ。 この状況だと、誰だって右代宮を疑いの視線で見るだろうさ。
 スレのみんなだって、よく知らない又聞きの話を盲信してただろ?」
\
「こういう流れかもね?
 あの有名な右代宮家に、とんでもない大事件が起きた。 事件関係のスクープを取りたい。
 でも、自分たちは右代宮家の事をそれほど知らない。 とりあえず、事情を詳しそうな奴の言ってる事を信じよう。
 四六時中、『右代宮』『右代宮』ばかり叫んで貼りついてる、粘着質なあいつらなら右代宮関係の事情詳しいだろうし、ディープな真実いっぱい知ってるんじゃね?」
\
「なるほど。 偏向報道フィルターに気づかずに@ってわけか。
 まあ、でもこれ、俺も経験あるわ。 お前らだってあるだろ?
 あまり詳しくない物を調べる時。 例えば、中古のゲームショップで、見た事ないゲームソフトを買う場合、どうする?」
\
「レビューサイト見るわ。 そんで、評価が良ければ買う。悪けりゃ買わない。」
「濃い目の情報を信じるかな? 物知りの奴が細かいところまで事細かに書いてたら、とりあえずは信じるな。」
「もし、それらの情報に悪意の嘘が混じってたら?」
「あ。」「言われてみれば……。」
「今まで知らなかった物の情報なんて、それが嘘か本当かなんて、わかるわけないじゃない。」
\
「事件後、準備不足でどの雑誌も大して事情を把握できてない中で、唯一こいつらだけは既に、いつどんな事件が右代宮に起きてもいいようにスキャンダルの準備ができていた。
 事件前から右代宮家の内部事情ばかりをずっと前から”暴露”し続けていたから。
 ゴシップ雑誌は数あれど、1つの家族だけに粘着し続ける悪趣味は、『週刊虚実』と、そのバックの勢力だけ。
 だから、こいつらの言い分が唯一の真実としてまかり通ったわけか。」
bgm1 47
\
「しかし、ドラノールってコテハンの奴、よく時系列や人間関係をここまで詳しく調べ上げたよな。何者なんだ?
「そもそも、ブラックジャーナリストって、まさかそんなのが本当に存在するのか?」
\
「お前のスキャンダルを雑誌に載せるぞって脅して、金を強請り取る手口はどこかで聞いたことがあるよ。
 捏造のスキャンダルでも公表されてしまうと致命的だね。
 だって、身の潔白を証明するためには時間がかかる。かけられた嫌疑を打ち消すほどの説得力を持つ具体的な証拠を準備しなきゃいけないからね。
 それまでの長い時間でどれだけ、広く世間に悪い噂がばら撒かれるか、考えた事ある?」
\
「第一報を鵜呑みにして、速攻で失望して愛想をつかす奴だっている。
 仮に、後に身の潔白が証明されたとしても、一つのスキャンダルの情報を最後まで追いかける人がどれだけいるか。
 どんな弁解も、見てくれる人、聞いてくれる人がいないと意味が無いんだ。
\
 失望した相手の弁解を誰が真面目に聞く?
 一度壊れてしまった壺が、もう二度と元の形に戻らないように。
 そいつとの信頼関係は、もう二度と回復しないかもしれないんだ。」
\
「信頼関係さえ壊せれば、必ずしも真実である必要がないわけだな。」
「捏造でも、脅しに使える。商売は信頼を失ったらお終いだからね。」
「真実その物を塗り替える”黒き魔法”。そうか、エピソード4のあれって、黒木による風評被害を差してたのか。」
\
「泣き寝入りして金を出した挙句、おとなしく金出したはずなのに雑誌にスキャンダルが載る?
 なんだよそれ。最悪だな! んな事、何で許されるんだよ?」
\
「だって、誰かに助けを求めたい場合でも、相手に全ての事情を話したうえで、正しい事実関係を相手に信じてもらわなきゃいけない。
 つまり、少しでも他人には話しにくい秘密や不信感を持たれそうな材料を持っていたら……。
 誰にも助けを求められず、孤立させられる。」
「”魔女を否定する毒素”だっけ? 悪意の毒素の充満によって自分自身の存在その物が否定される環境では、真実すらも否定されて、幻想の霧のように消えていく。」
\
「捏造で一度酷く信用失わされた奴が、誰に信じてもらえるっていうんだよ?
 よっぽど、相手に愛されてでもいない限り……ん?
 ”愛が無ければ視えない”って、そういう事か。」
\
「お前ら、何であの物語の事まだ覚えてるんだよ?
 全く。 俺だけじゃなかったせいで、”世界を構成する最小単位”の2に、あっさり到達してしまったじゃないか。」
\
 この避難所は、広いネットの中では僻地と呼ぶべきマイナーなコミュニティだ。
 ここ一か所が、いかにどんな考察で盛り上がろうと、世間の意見は恐らくは覆る事は無い。
 か弱き真実のまま、埋もれていくだろう。
\
 でも、それでもこれは十分に奇跡と呼ぶに相応しい出来事だった。
 初めてだったから。六軒島事件以降、こうも右代宮に味方する意見が、ネットという誰でも見ようと思えば見れる場所に、こうもたくさん集まったのは。
 そんな避難所の様子を見ている、2つの影があった。
\
「こんな展開、初めてだ。 外の世界の人たちが、こんなに理解を示してくれるなんて。
 ウィルの言ってた『縁寿の真実の魔法』の話の通り、本当に世間の右代宮バッシングに疑問を持つ人たちが現れたよ。
 ねえウィル、これが奇跡なの?」
\
「バーカ。この程度じゃまだ奇跡じゃねェ。 俺の推理が正しければ、縁寿の真実の魔法の第二弾が炸裂する。
 もうすぐ……な」
\
「第二弾? それは、一体……!?」
「魔女を否定する毒素が弱まった時、魔女は存在する事が出来る。
 だったら、右代宮を否定する毒素が弱まった時、何が起きると思う?」
\
「右代宮を、否定しない人の意見が存在できるようになる……?」
「ああ、正解だ。
 さて、お前に1つ問題を出す。 さくたろう、シエスタのウサギたちのモデル知ってるか?」
\
「あれは真里亞の」
「いや、それ以外にもな、もう1つ意味を持ってるんだよ。ダブルミーイングってやつだ。
 ほら、わからねェか?
 シエスタ以外にも、4人組の奴らがいる事に。
\
 学校でいつも一緒の仲良し4人組。 でも、不幸が起きて一羽欠けてしまった。
 残された、三羽のウサギは今、何を思ってる?
 その失った一羽の真実が苦境に立たされてる中、何をしようとしている?」
\
「それ、もしかして……。サク、ヒナ、リン?」
 さくたろうは、思い出す。
 六軒島を巡る物語に、右代宮朱志香の親友として出てきていながら、ほとんど出番がなかった彼女たちの事を。
\
 もし、彼女たちがベアトリーチェの物語に、実は今までに何度も登場していたら・・・・・・!?
 もし、それが―――。
 シエスタの3人だったとしたら……!?
\
「もし、そんな事が起きたとしたなら、それこそ本当の奇跡だ。
 真里亞だって、縁寿を許してくれるよね?」
\
「ああ。
 だがな、あいつが『許す』『許さねえ』以前に、1つお仕置きする必要がある。
 『史上最悪のいじめっこの作り方』だっけか? たっぷり虐めて、虐め方を学習させてから力を与えると、最悪の虐めっ子が完成するって話。 前からあいつの持論だとは知っていたが、今回のはやりすぎだ。
\
 どこの世界に、ゲスな週刊誌の真似して、久々に会った生き別れの姪を攻撃する馬鹿がいるんだよ。
 いくら、縁寿の事を誤解して、『復讐のためにわざと酷い考察をばら撒いた奴』だと思っててもな……。
 『事件当日の錯乱した楼座が言い訳のために使った方便』を、無理やり正当化して霧江と留弗夫を悪人に仕立て上げて、報復に使うなんてのは、絶対にやっちゃいけない事なんだよ!
\
 他人にやられて、一度でも自分が嫌だと感じた事、「やめて!」って叫びたくなるような酷い事はな……。
 例えどんな理由があろうと、自分は絶対にやっちゃいけねえんだよ!
\
 縁寿の考察のせいで朱志香が死んだ? ふざけるな。いくら何でも死亡の定義を弄繰り回し過ぎだ。
 『変な話が世間に流れて、社会的に死んだ』事をわざと、まるで『自殺して肉体的に死亡した』かのようにわめいて縁寿を更に追いつめて……。
\
 どうして、ネットで起きたあの騒動で、縁寿が起こした事件で朱志香が叩かれて……。
 一番、追いつめられてたのが縁寿だって事に、@どうして、気づいてやれねェんだよ!?」
\
「え? その死亡についての定義だと……。 あれ? え? 死んでない? 生きてるの?」
「そもそも、あいつが今さら死んでどうするんだよ? かつて自分の仕掛けた『狂言殺人で共通の敵を作ってみんなに仲直りしてもらおうハッピーハロウィン作戦』のせいで、何もかもメチャクチャ。
\
 最初は、本当の敵の、黒木やブラックジャーナリスト一派の存在と、バラバラの右代宮家を嘆きながら孤独に死んだ右代宮金蔵の気持ちを家族みんなに伝えて……。
 右代宮家が家族一丸となって、助け合って、今直面するすべての困難に立ち向かうために、考えた作戦だったのに。
 裏目って誰にも真意気づいてもらえず、殺し合い起きて家族全員死んで。
 その後も、墓の中の家族が悪く言われるわ、絵羽犯人説で日本中盛り上がるわで何もかも裏目りまくりの大パニック!
\
 涙目でエピソード3を書き上げたのに、誰一人真意を理解せず。
 世間には絵羽犯人説を補強するお話だと、真逆に受け取られたりとエトセトラ。
 本当は、絵羽犯人説を否定するために作った話なのにな。
\
 んで、EP4以降でもでも似たような事の繰り返し。
 誰にも真意が理解されず、物語の記述の揚げ足を取ったような、右代宮への悪評ばかりが増えていった。
 こんなにも、何度も何度も、数えきれないほどの死にたくなる状況を惨めに生き抜いてきて来た奴なんだぜ!
 今更、この程度で命を投げ出すなんて馬鹿な真似……。
\
 するわけが無いだろうが!」
bgm1 515
\
「ドラノール君、なかなかの反応のようですね。
 この私が全人脈を総動員して、情報をかき集めたのも間違いじゃなかったという事か」
「教授サン、どうしてあなたはここまでやってくれるのデスか?」
「今、思い出したんだ。聞かせてあげようか? 私が心を入れ替えた本当の理由を。」
\
 教授は、ドラノールに話した。
 今まで、他人の真実の重みに気づかずに興味本位に近づいて、教授と言う無駄に重い肩書の持つ説得力も理解せず、右代宮バッシングを助長する片棒を担いでいた、愚かな自分自身の罪の事。
\
 真実というデリケートな物を扱いながら、適当な伝聞をろくな検証もないまま真に受けて拡散するのが、如何に怠惰な事なのか。
 教授と言う立派な立場の人間が、果たすべき役割から見ると、怠惰としか言いようが無かった。
 情報の拡散力や説得力がある立場だからこそ、どこの誰よりも強い責任感を持たなければいけなかったのに。
\
「そうだ。私は、怠惰な人間なんだ。
 あの時、ベルフェゴール君が言ったように。」
\
 そして、それに気づいたきっかけがいつなのか。
 何が切っ掛けで、どんな感情が芽生えたかを。
\
「あなたには愛想がつきました。子供たちと一緒に出ていきます!」
「ああ、いいさ。勝手にしろ! 女が一人で子供を養えると思うならな!」
\
 ほんの少しの綻びからの、仲違い。
 喧嘩の最中に、売り言葉に買い言葉みたいな流れで口にしてしまった、本当は思ってもいないような言葉。
\
 違うんだ。嘘だ。私はそんな事思ってない。望んでもいない。
 待ってくれ。行かないでくれ。 誤解だ。 私が悪かった。
 戻ってきてくれ。 私を許してくれ!
 本当は、愛している……。お前ら家族を、私は。 私は……。
\
 それまでは、家中に響いていた、はしゃぐ子供の明るい声。
 悪戯を叱る、母親の声。 言葉では息子を咎めながらも、心では『いい子に育って』と思っている、そんな愛のある声。
 話声あれだけ毎日騒がしかった家が、嘘のように静かになった。
\
 私の寝床の周りから、音が無くなった。
 たった一人、私だけが残された。
 そんな私に優しくしてくれるのは、部屋いっぱいに満たされた骨董品たちだけ。
\
 そうだ。 だから、私はあの時……。
 聞いたんだ、彼女の声を……!
\
「怠惰でしたね、あなたのご家族は。
 一家の大黒柱が、本気で家族を愛していない事なんて、あるはずないのに。
 そして、あなたも怠惰です。
 奥様に誤解されたのに対して、言い訳と言う名の弁解だけに終始して。
 それでは、奥様には『俺は悪くないんだ』と見苦しく言い逃れしているだけにしか聞こえない。
\
 本当の気持ち、どうして言わなかったんですか。
 言えば、わかってくれないはずなんてなかったのに。
 どうして、何もしようとしないんですか?
 今からでも、決して遅くはないはずなのに。」
\
 誰の声?
 そうだ。あの時私は、振り返ったんだ。
 声のする方向へと。
 そこには……。
\
「ダメですよ。
 まだ『愛してる』んでしょ? だったら、ちゃんと、『愛してる』って口にして言わないと。
 それをしないで、いくら理解されない事を愚痴っても、それはただの怠惰です。」
\
 ”い”たんだ。
 
 煉獄の七姉妹の一人、怠惰のベルフェゴールが。
\
 その時だった。
 私は、重なったんだ。
 そう、全てが。
 私と同じで、一人きりの書斎で骨董品に囲まれていた、孤独な老錬金術師と。
\
「嫁も息子も、私を理解してはくれん。
 表面だけ、どう取り繕おうとも、私の事が嫌いなのだろう。
 私を癒してくれるのは、ベアトリーチェだけだ。
\
 わかっている。
 ベアトリーチェの伝説なんて全部嘘だ。
 確かに存在するのは、@たった一通の手紙と、添えられていた僅かなお金だけ。
\
 多分、どこかの貧しい娘が、なけなしの金をどうにか、かき集めて。
 全部合わせてやっと、あれだけという。 ちっぽけな、はした金。
 でも、大事なのは金額の大小ではないのだ……。
\
 周りの神輿に載せられて、借金だらけで潰れかけの右代宮を継がされて。
 事業になかなか成功せず、負債は増える一方で。
 そんな、明日すら見えぬ暗雲の中での事だ。
\
 私のもとに、一通の手紙が届いたのだ。
『お困りでしょう。 少ないですが、受け取ってください。
 少しでもあなたのお役に立てるなら幸いです。
 私が込めた黄金の魔法が、あなたに莫大な黄金をもたらす事を、心からお祈り申し上げます。
 黄金の魔女ベアトリーチェより』
\
 あの時は、負債地獄の出口の見えない迷宮の中で、本当にもがき苦しんでいた。
 誰も助けてくれず、ただ途方に暮れるしかなかった。
 本当に、どん底だった。
 そんな中で、彼女だけは私に助けの手を差し伸べてくれたのだ。
\
 彼女がくれた”救い”が、私にとってどれだけ大きな力になったか。
 私が、こうして島1つ買い取って、主として君臨できるようになったのも、全ては彼女の”黄金の魔法”のおかげだ。
 確かに、彼女の包んだお金の額は少なかったさ。
\
 でも、彼女のくれた”救い”によって、元気を取り戻した私が、その後努力に努力を重ねて、やっとの事で手にしたのは、莫大な黄金だった! ベアトリーチェの、黄金の魔法が本物だったから、右代宮家は完全に立ち直ったのだ。 
 せめて、ベアトリーチェにもう一度会いたい。
 会って一言、お礼が言いたい。『ありがとう』って。」
\
 ドラノールは、教授の話を、瞬きもせずに聞き入っていた。
 まるで、本物の右代宮金蔵が、教授の身に憑依して語り掛けるような、そんな話ばかりだったから。
\
BGM witch in gold(出題編の曲)
ロノウェ「ベアトリーチェ様の衣裳部屋に忍び込んでどういうつもりですかな?」
朱志香「祖父さま見てると、なんか、鏡に映った私を見ているみたいでほっとけないんだ。普段意地張って虚勢張って強い振りして本当は弱くて、いなくなった奴の事ばかり考えて、ひとりぼっちで。」

ロノウェ「ほう。つまり、ベアトリーチェの代わりになってあげたいと? そのために衣裳を盗んで変装したいというわけですか。」
朱志香「い、いや。そういうわけじゃなくて。えっと……。あ~、ダメだ。言い訳しようとしたけど、全然思いつかねえ。私やっぱ馬鹿だ~。」
BGM Sun(未使用曲)
ロノウェの許可もらって、変装して金蔵部屋に突撃するも?
ロノウェ「ぷっくっく。どうです。上手くいきましたか?」
朱志香「『ふざけんな』って酷い剣幕で怒鳴られた。お前如きがベアトを名乗るとは何事かって。薄々わかってたけどね。誰だって美しい思い出をパチモノで汚されたくはない……か。」

朱志香「私だって、いくら戦人がいなくなって寂しいからって、代わりに似たような変な髪形のスネオヘアーの男に『俺を戦人だと思ってくれ』なんて言われたら、ぶっ殺したくなるよ。空気読まずに、ノリノリでヘンテコな変装してドヤ顔で生き恥晒して、轟沈して。あ~っ、なんかもう穴掘って死にたい~~っ。」

ロノウェ「まぁ確かに、あのお美しいベアトリーチェの代わりがお嬢様のような乳臭い小娘というのは、お館様的には許せんでしょうな。何しろ気品の欠片もありませんからな。」
朱志香「ケンカ売ってる?」
ロノウェ「いえいえ。滅相もありません。考えようによってはその若さが、お館様を落とす武器になります。」

ここに、クッキー焼くシーン

朱志香「クッキー焼くのがこんなに大変だなんて思わなかった……。まさか上手く焼けるまで付きっきりのスパルタだもんな。」
ロノウェが言うには、「お嬢様のような乳臭い小娘だからこそ、一生懸命さが武器になる」らしく、「お菓子も作れないような不器用なお嬢様が一生懸命作った事自体が大事」。味の美味い不味いは問題ないらしいけど、不安な朱志香。

朱志香「そういえば、戦人にも焼いたこと無かったな。いつも他の子が戦人にクッキー焼いて渡すのを、私はただ見ているだけで。紗音が焼いたクッキーを戦人が食べるのが何となく悔しくて、思わず横取りして全部食べたら、戦人には紗音を巡る恋のライバルと謎の誤解されるし、紗音も照れて赤くなるし。」

朱志香「ああ、駄目だ。クッキー渡す前から失敗した時の事ばかり考えてどうすんだよ。ああも、うっざいなあっ! 今悩んだって、結果変わんないだろ?だったらもう、当たって砕けろだ!」
金蔵部屋に再チャレンジする朱志香。
金蔵「朱志香よ。焦げた物を食べさせて私をガンで殺すつもりか?」
失敗
BGM worldend オルゴール版(出題編曲)
一生懸命作ったクッキーを突き返される朱志香。
その一部始終を見ていた熊沢は、金蔵の行為を許せなかった。「確かにクッキーは焦げていて出来が悪いですよ。でも、お嬢様がどんな思いであなたにクッキーを焼いてくれたのか、本当にわからないんですか? お嬢様の指の絆創膏見えませんでしたか?」

金蔵「要はクッキー程度も満足に焼けないという事だろう。焦がすわ指を怪我するわ。夏妃の教育はなっておらんという事だ。」
熊沢「どうして、そんなに大人げない事を仰るのですか? まさか思い出を汚されたのを怒ってるのですか?」
金蔵「貴様に何がわかる?最愛の人を失った男の悲しみの何が!」
熊沢「どうして、ご自分の孫娘の愛なのに。どうして、理解してあげようとも、しないのですか!」
BGM rain(EP7曲)

熊沢には、金蔵の意固地の理由がわかっていた。
金蔵は、文通相手のベアトリーチェの正体を、落下死した使用人だと思い込んでいる。だから、死人復活のためのオカルトなんかに嵌った。
熊沢には誤解だとわかっていた。何故ならそのペンネーム「ベアトリーチェ」は熊沢本人の物だからだ。

以前ベアトリーチェを名乗って文通していた熊沢が、金蔵に返事を返さなくなった理由。それは、金蔵には自分ではなく、家族の事をちゃんと見て、考えて欲しかったから。 熊沢は、金蔵本人の前に現れる事ができない「手紙の中だけの魔女」。そんな物にうつつを抜かし、奥様との関係を悪化した金蔵。

奥様との関係悪化が、彼の子供たちに与えた影響は大きい。絵羽様が女ながらに、男の真似事ばかりしたのは寂しかったから。父親に自分の事を見てほしい。愛してほしい。女の自分のままだと愛されないと思い込んでる。楼座様が、自殺した使用人を本当の母親だと思い込み、自分を魔女の子だと言ったのも。

BGM fall (EP7曲)

冷え切った夫婦関係。 日に日に刺々しくなる奥様。そんな奥様を自分の母親だと思えなくなった楼座様が、毎日何をしていたと思います?
落下死した使用人がいた場所に、毎日のようにフラフラ出かけて、今日もママに会えたよ嬉しいよって、1人で呟いていた楼座様が不憫で不憫で仕方なくて

そんな中、自分の存在が右代宮に与える悪影響を悟った熊沢は、金蔵に返事を返さなくなった。
でも、最後に手紙出したのが、使用人の落下死事件が起きる前なのがまずかった。何故なら、”使用人が落下死したから”手紙が返ってこなくなった=死んだ使用人こそがベアトリーチェだと金蔵が誤解したから。

相手が死んだ使用人だからこそ、ベアトリーチェに囚われ続ける。『亡くなった人相手恋の争いをしても勝てない』との言葉通りに。 あの時、私が犯した罪の重さから逃げ出して、田舎に帰ったのも不味かった。数年後気になって右代宮に戻った頃には手遅れで、今の病んだ金蔵になっていたのだから。

ベアトリーチェが生きていると手紙を返したほうがまだマシだったかもしれない。 でも、それだとグダグダと、あの関係を続けてしまう事になっていた。それどころか、金蔵に正体を明かすように迫られていたかもしれない。それが嫌だから、熊沢は逃げたのだ。
金蔵を更に束縛してしまう事にも気づかずに

熊沢は自分の罪を理解していた。
だからこそ過去に縛られて家族を顧みない金蔵が許せなかった。祖父を慰めるために必死の孫娘の気持ちに気づかないなんて。ベアトリーチェが孫娘の朱志香お嬢様なら、その方がいい。彼の愛は死者ではなく生者に家族に向けられるべき。孫を愛せない祖父がどこにいる?

BGM 古時計(未使用曲)

熊沢の説教を受けた後、自室の机に置かれたクッキーと、しばらくにらめっこをする金蔵。彼は悩んでいた。自分が朱志香のクッキーを本当に受け取ってもいいのか? それがベアトリーチェへの裏切りにはならないのかと、何度も自分に問いかける。この世に一人しかいない最愛の人、代わりなんていない!

でも、熊沢の言葉も気になる。
「この世に、ここまであなたの事を思ってくれる孫娘は……。朱志香お嬢様は、この世に一人しかいないのですよ!」
恐る恐る、クッキーに手を伸ばす金蔵。迷いから、その手は震えていた。
口に入れた瞬間、広がるのはほろ苦い味。
報われない片思いのような味。

金蔵「全く。私を早死にさせるつもりか。」
そう呟いた瞬間、自分の中の矛盾に気づく金蔵。
死のうと思っていた人間が、あの世でベアトリーチェに会おうとしておきながら死ぬのが怖いとは何だ? 笑わせる。
金蔵「次からは、火力と焼く時間を減らすように言わんとな」
ロノ「ほう?次も欲しいと」

突然現れたロノウェに、大慌ての金蔵。
金蔵「うわあああ! き、貴様。いつからそこにいた?」
ロノウェ「ノックはしたつもりなのですが、クッキーとにらめっこに夢中のお館様のお耳には届かなかったようですな。ぷっくっくwww。」
金蔵「勘違いするな。私は奴をベアトだと認めたわけではない」

金蔵「ただ、右代宮の当主ともあろうこの私が、孫娘が必死になってクッキーを焼いた気持ちも理解できんような無能である事など決してありえ無いというだけだ! 熊沢の奴に伝えておけ! 私は過ぎた事を女々しく愚痴るだけのくだらない男ではないと。しっかり教え込むのだぞ。わかったな!」

部屋から退出後ロノウェ「素直じゃないところは、そっくりですよね。お嬢様と血がつながってる証拠といいますか。
隔世遺伝ってあるものですね。 プーックックック!」
熊沢「私は、最低な女ですよね。こんな事で罪滅ぼしをしたつもりになって。
 でも、せっかくお嬢様が自ら決めて祖父に近づいた好機。
 こうでもしないと、あの人。死ぬまでずっと、一人ぼっちな気がして」
\



 色々な人のために普段とは違う自分を演じた。
 例えば、ベアトリーチェは一人ぼっちで寂しい金蔵のために。
 魔女を本気で心から信じる、ちっちゃい真里亞のために。
 何もできない自分だけど、せめて彼らが求める魔女として、彼らの傍に”存在”してあげたい。
 それっていけないこと?
\
 理御は、理想の跡継ぎを求める両親のため。
 学校のあだ名の”ジェシ”だって、学校のみんなのため。
 せめて誰かの役にたつために、自分に仮面をつけて頑張るのはいけない事?
\
 頭が悪くてダメな私でも、理御という理想の自分像を持って頑張れば、いつかは両親に認めてもらえる。
 「譲治君に比べて、どうしてあなたは」って、呆れられなくて済む私にも、いつかなれるかな?
\
 でも、そうやって頑張ってたからか、学校でクラスの奴らが勝手に色々頼りにしてくるわけよ。
 親を見返すためにつけてた仮面を見て、それで勝手に”ジェシって凄いんだ”とか思ったんだろうな。
 おかげで、勝手についた”頼れる姉御キャラ”なんて物を守らなくちゃいけなくなって、無茶苦茶しんどいったら、ありゃしない。
 本当は、私なんて何もできないダメな子なのに。
 どうして、ずっと背伸びし続けなきゃいけないの?って。
\
 でも、ジェシはそれで本当にクラスの子の期待に応えられてるんだから、凄いじゃない。
 例え仮面でも、そこまで来れば立派にジェシの一部じゃない。
 それに引き換え私なんて、サクみたいに手先が器用じゃないし要領よくない。
 リンに比べると、成績も悪いし……ああ、自己嫌悪。
\
 ねえジェシ。
 どうして、そんな他人に言えないような、ディープな悩みを話してくれるの?
 私みたいな、何のとりえもないダメな子に。
\
 だってさ、ヒナは話を真面目に聞いてくれるから……。
 後、誰かに勝手に誰かに言いふらしたりしない。
 前に、口の軽いサクに、ちょっと戦人の事を話したせいで、それからしばらく三角関係ネタで弄られ続けたのには参ったよ。
 サクも悪い奴じゃないんだけどね。
 明るくてノリが軽いから、一緒に遊んでて楽しいタイプだし。
 でも、真面目に悩みを話す相手には、どう考えても向いてないかな。
\
 ヒナは、ダメな子なんかじゃないよ。
 要領が悪いってのはね、『誠実』って事でもあるの。
 目の前の出来事を軽く受け流せなくて、馬鹿正直にクソ真面目に対応しようとするから、そりゃ損する事は多いよ。
 でも、そういう子ってさ。 絶対に、ズルい事は考えないだろなって@安心感があるじゃない。
 だから、他の子に言えないような事だって、打ち明けられる。
 紗音といい、ヒナと言い、私どうも、どんくさそうな子と相性がいいのかね? たはは。
\
 私、こんな事を言われたの初めて。
 ごめん、ほめられ慣れてないもんだから焦っちゃって。
 なるほど。そっかぁ。 真里亞ちゃんにも、いつもそういう言葉をかけてあげてるんだね。
 だって、ジェシは『不器用』な子だから。
\
 自分の本当の欲求をストレートに表現するのが苦手で、いつも他の誰かの事情ばかりに振り回されてばかり。
 いつも自分自身を抑えて、『誰かのための私』ばかりを演じて。
 もっとワガママに生きても許されるはずなのに。
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 この世界の誰かに、誰でもいいから抑え込んでる本当の自分を、見破って理解して欲しい。
 普段から、そんな気持ちを抱えてる『不器用』な子だからこそ、他の誰かが同じ悩みを抱えてる時に、理解してあげる事が出来る
 『本当の私』。『真実の私』を、見抜いてあげる事ができるのね!
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オリスク動画化する部分の文章と改ページ記号

 ハンドルネーム”ドラノール”により投下された”ドラノール文書”。
 それは、かつて六軒島事件が起こる何年も前からブラックジャーナリストの黒木という男が、反右代宮金蔵派閥に雇われて週刊誌に右代宮家のスキャンダルをリークしていたという情報だった。
 そのスキャンダルには明らかな捏造も含まれており、@事件1年前に蔵臼氏の出した大損失も、彼らの人脈の人間が蔵臼氏を陥れるために仕組まれた詐欺であるということも添えられていた。
\
「”事件前から”ってのがポイントだな。 つまり、六軒島事件が起きたから右代宮家の都合の悪い真実がバレたのではなく……。」「事件が起きて右代宮に疑いの目が向いたせいで、誰かの捏造した嘘のスキャンダルが、”真実”として当然のように語られ始めた……。」
\
「右代宮家の、特に蔵臼氏は、事件前から風評被害を受けていた。
 それでか。色々な事業に、一番真っ先に目を付けて置きながら毎回、事業が頓挫して撤退していた理由は。」
「ドラノール文書に、『蔵臼氏の事業計画と、スキャンダルのタイミング』について細かい時系列の表が載ってるけどさ。
 蔵臼氏が何かしようとしたタイミングで、毎回わけのわからない怪情報が『週刊虚実』にスクープされてたって事になるな。」
\
「事件の動機で、右代宮家の資金不足が殺人事件の原因だって話を聞いたことあるけど、その資金不足の原因が『反右代宮金蔵派閥』『黒木』『週刊虚実』の三者が仕組んだ捏造スキャンダルなら、気味が悪いな。
 『週刊虚実』は、自分の報道によって困窮して破滅した相手を、六軒島事件の報道の時に更にバッシングしてた事にならねえか?
 『調子に乗って落ちぶれた貴族が、最後は金の取り合いで破滅したんだ~』って、あいつら嬉しそうに特集してたぞ!
 もし、その落ちぶれた原因が自分達の偏向報道のせいだって事を自覚した上でやってたなら……。」
\
「実際に事件が起きたのは、右代宮の人間同士が、実際に殺し合ってしまったからだ。
 右代宮の人間の肉体が、凶器を持って殺人を実行したのだ。
 チップを埋め込まれてリモコンで操られてでもいない限り、彼らが自発的に”殺人”を犯した事を他の奴らのせいにはできない。
 だけど……。」
\
「お前の言いたいことは分かる。
 蔵臼氏と絵羽氏の対立を、わざわざ煽る報道を最も積極的にやってたのが、週刊虚実だからな。
 まるで、右代宮同士を殺し合いさせるためのリモコンじゃん、あいつら。」
\
 「情報操作で信頼関係を壊して、兄弟間の憎しみを煽った張本人の奴らが、『身内同士、憎み合うなんて、右代宮の奴らって怖いよね!』ってふざけたノリで事件後に報道してるのは、気持ち悪いよ。
 完全に自分のせいだって自覚してるから、事件の動機を決め打ちで書いて、他の週刊誌を出し抜いて真っ先にスクープが取れるんだ。
 こんなの”報道”とも”ジャーナリズム”とも呼びたくないよ。
 しかし、ドラノールってコテハンの奴、よく時系列と人間関係調べ上げたよな。何者なんだ?」
\
「しかし、ブラックジャーナリストって、まさかそんなのが本当に存在するのか?」
「スキャンダルを雑誌に載せるぞって脅して金を強請り取る手口はどこかで聞いたことがあるよ。
 捏造のスキャンダルでも公表されてしまうと致命的だね。
 だって、身の潔白を証明するためには時間がかかる。かけられた嫌疑を打ち消すほどの説得力を持つ具体的な証拠を準備しなきゃいけないからね。
 それまでの間に、どれだけ広く世間に悪い噂がばら撒かれるか、考えた事ある?」
\
 「仮に、後に身の潔白が証明されたとしても、一つのスキャンダルの情報を最後まで追いかける人がどれだけいるか。
 どんな弁解も、見てくれる人、聞いてくれる人がいないと意味が無いんだ。
 第一報を鵜呑みにして速攻で失望して愛想つかす奴だっている。失望した相手の弁解を誰が真面目に聞く?
 一度壊れてしまった壺が、もう二度と元の形に戻らないように。
 そいつとの信頼関係は、もう二度と回復しないかもしれないんだ。」
\
 「信頼関係さえ壊せれば、必ずしも真実である必要がないわけだな。」
 「捏造でも、脅しに使える。商売は信頼を失ったらお終いだからね。」
 「真実その物を塗り替える”黒き魔法”。そうか、エピソード4のあれって、黒木による風評被害を差してたのか。」
\
 「泣き寝入りして金を出した挙句、おとなしく金出したはずなのに雑誌にスキャンダルが載る?
 なんだよそれ。最悪だな! んな事、何で許されるんだよ?」
\
 「だって、誰かに助けを求めたい場合でも、相手に全ての事情を話したうえで、正しい事実関係を相手に信じてもらわなきゃいけない。
 つまり、少しでも他人には話しにくい秘密や不信感を持たれそうな材料を持っていたら……。
 誰にも助けを求められず、孤立させられる。」
 「”魔女を否定する毒素”だっけ? 悪意の毒素の充満によって自分自身の存在その物が否定される環境では、真実すらも否定されて、幻想の霧のように消えていく。」
\
 「捏造で一度酷く信用失わされた奴が、誰に信じてもらえるっていうんだよ?
 よっぽど、相手に愛されてでもいない限り……ん?
 ”愛が無ければ視えない”って、そういう事か。」
\
 避難所板のウィッチハンターたちは、ドラノール文書の告発を拒絶せず受け入れてくれた。
 何故ならは、彼らも真実の歪曲により居場所を追われた者達だからだった。
\
 ここ、”ウィッチハンタースレ避難所”は、世間の”古戸ヱリカ文書”の解釈に懐疑的な者の集まりである。
 そして、そのほとんどが、ゲロカス速報(通称ゲロ速)の偏向まとめにより大量に流入してきた”まとめ民”により、ウィッチハンター本スレを追い出された、”元、本スレ民”。
\
 彼らは、”古戸ヱリカ”文書に対して、ゲロ速がまとめたまとめ記事の、”ウィッチハンター達が朱志香犯人説で盛り上がってる件WWW”とは、異なる解釈を持っていた者たちだった。
 彼らは、ゲロ速を鵜呑みにし”魔女狩り”断罪に盛り上がる大勢の”新参者”から見れば、”排除されるべき異端”だった。
 だから、本スレから追放された。
 今、避難所板にいる彼らの方が、本来の本スレ住人だったにもかかわらず。
\
 「お前、魔女を庇うつもりか? さては魔女に買収されたんだろ?」
 「いや、俺はただ、古戸ヱリカ文書の第二章の解釈が必ずしも、金蔵による近親相姦じゃないって言ってるだけで……。」
\
 文中に書かれていたのは、魔女伝説という幻想を通じての、祖父と孫娘のスキンシップ。
 それだけの話なのに。
 どうして、近親相姦説以外の解釈をしただけで、魔女に買収されたことになるのか。
\
 「本人乙。」「自作自演痛すぎW。」
 「何で朱志香が多重人格じゃないって言っただけで、自作自演なんだよ!?」
 疑問を挟むことすら許せなくて。会話が成り立たなくて。
 気が付けば、真面目な考察や議論をしたい人間はみんな外部掲示板に集まっていた・
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 色々な人のために普段とは違う自分を演じた。
 例えば、ベアトリーチェは一人ぼっちで寂しい金蔵のために。
 魔女を本気で心から信じる、ちっちゃい真里亞のために。
 何もできない自分だけど、せめて彼らが求める魔女として、彼らの傍に”存在”してあげたい。
 それっていけないこと?
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 理御は、理想の跡継ぎを求める両親のため。
 学校のあだ名の”ジェシ”だって、学校のみんなのため。
 せめて誰かの役にたつために、自分に仮面をつけて頑張るのはいけない事?
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 頭が悪くてダメな私でも、理御という理想の自分像を持って頑張れば、いつかは両親に認めてもらえる。
 「譲治君に比べて、どうしてあなたは」って、呆れられなくて済む私にも、いつかなれるかな?
\
 でも、そうやって頑張ってたからか、学校でクラスの奴らが勝手に色々頼りにしてくるわけよ。
 親を見返すためにつけてた仮面を見て、それで勝手に”ジェシって凄いんだ”とか思ったんだろうな。
 おかげで、勝手についた”頼れる姉御キャラ”なんて物を守らなくちゃいけなくなって、無茶苦茶しんどいったら、ありゃしない。
 本当は、私なんて何もできないダメな子なのに。
 どうして、ずっと背伸びし続けなきゃいけないの?って。
\
 でも、それで本当にクラスの子の期待に応えられてるんだから、凄いじゃない。
 例え仮面でも、そこまで来れば立派にジェシの一部じゃない。
 それに引き換え私なんて、サクみたいに手先が器用じゃないし要領よくない。
 リンに比べると、成績も悪いし……ああ、自己嫌悪。
\
 ねえジェシ。
 どうして、そんな他人に言えないような、ディープな悩みを話してくれるの?
 私みたいな、何のとりえもないダメな子に。
\
 ヒナは話を真面目に聞いてくれるから……。
 後、誰かに勝手に誰かに言いふらしたりしない。
 前に、口の軽いサクに、ちょっと戦人の事を話したせいで、それからしばらく三角関係ネタで弄られ続けたのには参ったよ。
 サクも悪い奴じゃないんだけどね。
 明るくてノリが軽いから、一緒に遊んでて楽しいタイプだし。
 でも、真面目に悩みを話す相手には、どう考えても向いてないかな。
\
 ヒナは、ダメな子なんかじゃないよ。
 要領が悪いってのはね、『誠実』って事でもあるの。
 目の前の出来事を軽く受け流せなくて、馬鹿正直にクソ真面目に対応しようとするから、そりゃ損する事は多いよ。
 でも、そういう子ってさ。 絶対に、ズルい事は考えないだろなって@安心感があるじゃない。
 だから、他の子に言えないような事だって、打ち明けられる。
\
 私、こんな事を言われたの初めて。
 ごめん、ほめられ慣れてないもんだから焦っちゃって。
 なるほど。そっかぁ。 真里亞ちゃんにも、いつもそういう言葉をかけてあげてるんだね。
 だって、ジェシは『不器用』な子だから。
\
 自分の本当の欲求をストレートに表現するのが苦手で、いつも他の誰かの事情ばかりに振り回されてばかり。
 いつも自分自身を抑えて、『誰かのための私』ばかりを演じて。
 もっとワガママに生きても許されるはずなのに。
\
 この世界の誰かに、誰でもいいから抑え込んでる本当の自分を、見破って理解して欲しい。
 普段から、そんな気持ちを抱えてる『不器用』な子だからこそ、他の誰かが同じ悩みを抱えてる時に、理解してあげる事が出来る
 『本当の私』。『真実の私』を、見抜いてあげる事ができるのね!
\
 4つめの章の解釈なんて、最初から『魔女が殺人事件の犯人で、メッセージボトルや偽書を真実の隠ぺい工作のために利用した』の一点張り。
 ベアトリーチェが直接殺人を犯したとは限らない事を突っ込めば、本人乙扱いされた。
\
 そもそもメッセージボトルや偽書をわざわざ流さなければ、事件は絵羽犯人説で確定するはずだった。
 古戸ヱリカ文書が指摘していた”物語の作者が朱志香であるヒント”なんて、わざわざ物語を書かなければ発生しないはずの物なのだ。
\
 それを指摘したら、修正案として「恋のライバルの紗音を貶めるために、絵羽犯人説から紗音犯人説に誘導した。」という答えが返ってきた。
 どうあっても、朱志香を『物語を証拠隠滅や、他者の濡れ衣』のために書く人間という事にしたいのだろう。
 最初から、彼らの求める一種類の真実で決めつけて、異論を絶対に認めようとしない。
 異論は全て、本人の自作自演か買収された者の意見として解決される。
 これでは、まるで魔女裁判だ。 
\
 彼らの求めているのは、真実を解き明かす事ではない。自分の求める真実で、世界を塗りつぶす事なのだ。
 つまり、彼らがしているのは推理ゲームではない。 陣取りゲームなのだ。
 最初から信じるべき”真実”は決まっていて、それ以外の異端を全て排除し塗りつぶす陣取りゲーム。
 黒い色をした1つの真実が、他の全ての色を塗りつぶして勢力を拡大する陣取りゲーム。
 ”真実の陣取りゲーム”。
\
 本スレは今、”右代宮に買収された奴ら”と”右代宮信者”を全て追放して、”冷静で公平で客観的な視点”で、右代宮家の人間の”真実”についての議論に盛り上がっている。
 ゲロ速のまとめ記事が、本スレの書き込みを平等に抽出した物なのかを、全く疑いもしないで。
\
 「ゲロ速がまとめた”嫌いな誰かを貶めるために文章を書く右代宮朱志香像”って、こうして見ると鏡に映ったゲロカス速報その物じゃねえか。」
 「なるほど。ゲロ速管理人がチェス盤をひっくり返して、”自分が朱志香ならどうするか”を考えた結果、知らず知らずのうちに自分の中の朱志香像が、鏡写しのもう1人の自分になったわけね。」
\

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プロフィール

パンダ5

Author:パンダ5
笹の葉を食う頃に礼にようこそ!
現在、朱志香犯人説解を作成中。ベアト理御=朱志香=うみねこのなく頃に原作者、狂言殺人事件説とその動機は「マスゴミにバラバラにされた信頼関係」というラインで考えています。
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