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魔女と娘と人形裁判4

1998年:フェザリーヌのメタ図書館

「どうした?人の子よ。さっきからずっと黙り込んで?」

フェザリーヌの言葉で、私ははっと我に返る。

「べ、別に。」

平静を取り繕おうとする私だったが、さっきまで右手に持っていたはずの偽書が、自分の足元に落ちている事に気づいた私は、慌ててそれを拾う。
ダメだ、全然誤魔化せていない。

私は、ついさっきまでフェザリーヌの書いた偽書を朗読していた。
そのはずだった。
でも、いつの間にか、私は朗読を忘れ、ぼんやりと虚空を見つめていた。

最初は、いや、もっというなら、ついさっきまでは張り切って、最後まで読もうと意気込んでいた。
はずなのに、それなのに、私は……。
読んでいる最中に、だんだん気が遠くなっていって、
魂が抜けて。
さっきまで、まるで、人形のように空っぽの抜け殻になっていた。

フェザリーヌの声が無ければ、まだ帰ってこれなかったかもしれない。

「それならよかった。さあ、朗読の続きをしてもらおうではないか。」
「わかってるわ、言われなくてもそのつもりよ。」

私は、さっきの続きから朗読を進めようとする。
でも、できなかった。言葉に詰まって、息が震えて。

ただ、読めばいいだけの簡単な事。
でも、今の私には、その『簡単』な事があまりにも重かった。

続きを読まなければならない事は、私にもわかっていた。

偽書を読み進める事は、私を朗読者に任命した、偽書作者のフェザリーヌ以上に、私にとっても重大な意味を持っていた。

かつて、六軒島に起きた事件の真相を知ること。
私の大事な家族を奪った、憎き事件の全てを白日の下に晒すこと。
そして、魔女の世界から、大好きなお兄ちゃんを取り戻すこと。

それらの全てを手に入れるためには、一刻も早く、謎を解き明かすしかない。
そのためには、フェザリーヌの偽書は必要不可欠だ。

決して半端な気持ちだったわけじゃない。
途中で飽きたり、嫌になれば、すぐやめていいような、いい加減な気持ちではなかった。
失ったもの全てを、取り返してやるんだと言う意気込みで、私は彼女の書いた偽書の1つ「judgment of the marionette」を手に取ったはず。

それなのに。
それなのに。

私は、続きを読む事が、できない。

あまりに辛すぎて、続きを読み進めることすら、かなわない。

そんな私を、茶化すフェザリーヌ。

「どうした、人の子よ? ふむ、今時の人の子にもわかるように、漢字にはルビを振っておくべきだったか。」

それが、心の中で最もナイーブな部分に触り、思わず私は

「そうじゃない!」

大声を上げてしまった事に私は後悔する。
何故なら、それは彼女の前で、いかにも偽書の中身に思い切り動揺してますと宣言したのと同じだから。

「もしかして、辛いのか、人の子よ?」

フェザリーヌが私の顔を覗き込む。
心配そうに、ではなく興味深げに、であるところが、なんとも彼女らしい。

まあ、でもその方が気楽で、今の私にはちょうどよかった。
下手な心配や、同情ほど鬱陶しいものはない。

フェザリーヌは、おほんと軽く咳払いすると、言葉を続ける。

「まあ、無理も無い。そなたにとって、この偽書は、古傷に塩を塗りこまれるに等しい残酷なものだ。
人の子よ、時間はいくらでもある。ここらで一つ休憩でもはさまぬか?」

「ふ、古傷なんて、別に私はぁあああ!」

私は、また、過剰に反応してしまった。
下手に激しく否定する事は、時には肯定しているのと同じ意味として相手に取られるものだ。
恐らく、彼女にはこう伝わっただろう。
『まるで昔の自分を見ているようで辛いです。もう読むのが怖いです。』
と。

実際、そうだった。
建前では全力で否定しているものの、それが今の私の偽られざる本音だった。

だって、偽書に出てくる真里亜お姉ちゃんは、『私』だから。
絵羽伯母さんを、最後まで理解できずに拒絶し続けた『私』そのものだから。

その後、フェザリーヌは、「茶菓子でも持ってくる」と言うと、踵を返し、部屋の外へと消えた。
「かの有名店で買った、美味しいシュークリームがあるはずなのですよ、あうあう。」
らしいが、あの老け顔でシュークリームのような少女趣味なものが好きとは、なんというギャップ。

「あれ? 今、あうあうとか聞こえたような……きのせいね、きっと。」

絵羽伯母さんが私に対して全く非が無かったのかと聞かれたら、当然そんな事は無い。
でも、だからと言って、私が、絵羽伯母さんに対して全く非が無いのかと聞かれると、答える事ができない。

私にはわかっていた。
絵羽伯母さんが、私を傷つけた以上に、私が絵羽伯母さんを傷つけていた事を。

子供の頃は、周りのみんなから、私がいじめや迫害を受けているのは犯罪者の絵羽伯母さんのせい、全部は悪者の絵羽伯母さんの巻き添えなんだと、思い込んで、ずっと一方的に恨みつづけてきた私。
でも、本当の事実を知るにつれ、段々とそれが間違いだとわかってきた。

思えば、私以上に、酷い立ち位置に彼女はいた。

有名な六軒島殺人事件の容疑者として、テレビのワイドショーにさらし者にされ、金のためなら何でもする守銭奴だの、人殺しの悪魔だの、叩かれた。
息子を、ステレオタイプのどら息子扱いされ、叩かれた。
夫のこれまでしてきた事業の全てを、結論ありきの悪意じみた解釈により歪曲され、それが公共の電波の力によって、世界中に広がってしまった。

テレビ局は、一方的な見方で、偏見で、絵羽伯母さんを完全な極悪人に仕立てた内容の番組を作り放送した。
中には、面白おかしく視聴率を稼ぐためにとんでもない嘘がいっぱい混じっていた。
それを見た視聴者は、テレビが言っているのなら間違いないだろうと、その番組を信じた。
そこに掛かっている一方的な偏見のフィルターに、一切気づかずに。

どんな嘘でも、何度も繰り返し伝えれば『真実』になる。
それは、私のいる現実世界に確かに存在するもの。
考え無しに、『嘘』を鵜呑みにする愚かな連中によって『嘘』が『真実』として塗り替えられていく様は、まるで魔法のよう。
そう、他人を傷つける『黒い魔法』。

彼女は、いつしかボディガード無しでは散歩もできなくなっていた。
一人で外に出ると、プライバシーすらも蹂躙され、道を歩いている時ですら、ハエのようにしつこく群がる取材陣に迫られるから。命の危険すらも感じる事があったから。
小此木のおじさんの話によると、興味本位、あるいは金儲けのために集まってきた心無い人間に、人間の尊厳すらも、破壊するようなえげつない取材を繰り返されたらしい。
その中には、まるでセクハラとしか思えないような下世話な質問もあったという。
マスコミのどんな傍若無人な態度も、殺人を犯して大金を手に入れるような悪人に対してなら、むしろそれは悪をの存在を世間に伝える正義の行動として正当化されていた。

どんな悪事でも、全員で行い正当化すれば、それは身勝手な解釈をもって『善行』に昇華される。
例えば、私が、学園で受けていた様々な嫌がらせや、いじめの数々はその最たるものだった。
相手を『悪』と決め付けることで、自らの『善』を保ちながら、合法的に悪意を振るう。
『悪行』が『善行』として、塗り替えられていく様は、まるで魔法のよう。
そう、それは善意の仮面を守りながら、他人を傷つける『黒い魔法』。

絵羽伯母さんは、ボディガード無しでは外で散歩もできなくなっていた。
一人で外に出ると、名前も知らない一般人から石を投げられる事があるから。金目当ての犯罪者に凶器を突きつけられることもあり、命の危険すらも感じる事があったから。

思えば、彼女が私にスパルタのような教育を施そうとしたのは、私を守るためだったのかもしれない。

勉強は、この世に溢れる嘘の中から真実を見つけるための剣となる。
武術は、この世に溢れる理不尽な暴力から身を守るための盾となる。

小此木さんの話によれば、彼女にとって私は、自分の娘同然の存在だったらしい。
私を愛そうと努力をしていた。だから、譲治お兄ちゃんに対してそうしたように、私も右代官家の後継者として恥ずかしくないように、ちゃんとした教育を身に着けさせようとした。

彼女が、育ての親として常に正しい事をしていたのかと聞かれると、勿論NOだ。
私が彼女を認められないのと同じように、彼女も私を娘として認めることができなかった。
実の親子かどうか以前に、私の反抗的な態度を見て、すんなり打ち解けられるはずがない。
だから、息子の譲治の事ばかり思い出し、つい比較して叱ったり八つ当たりしてしまうことも、あった。
彼女のそんな態度が、私の不信感を増大させていたこともまた事実。
最悪なのは、暴力と言う形で、私に対して拒絶の感情を示してしまった事。

それが、絵羽伯母さんに対する不信感を確信に変える、決定打になってしまった。
彼女は、冷静になれなかった。だから、大人として正しい行動を、必ずしも取る事ができなかった。
互いに打ち解けるために、私に笑顔を向ける、ただそれだけの簡単な事を、最後まですることができなかった。
だから、私が心を許さなかったのは、自業自得、因果応報、仕方がないし、当たり前のこと。
私に対しての絵羽伯母さんの行いは全て間違いだらけ。
私に憎まれてもおかしくない罪を、嫌われて当然の過ちを彼女は繰り返したのだから。
この点に対しては擁護するつもりは無い。

でも、小此木さんによれば、そんな弱い自分と戦いながら、少しでも私を愛そうと努力していたらしいのだ。
親族を一気に失った、事件後の悪評の中で友人を失った。
そんな彼女にとって、私はただ一人、心を許せる可能性のある存在だったから。

その結果が、私に対する厳しい教育の数々。
悪意に満ちた危険な外の世界に家出しようとした、私への厳罰。

色々な事実を知った今ならわかる。理解できる。
絵羽伯母さんが、生前、私に対して向けていた、不器用で、無残で、トゲだらけで、だけど壊れそうなくらいヒビだらけで、どうしようもない心を理解できる。

彼女は、私以上に、不幸で、今すぐにでも守ってあげなきゃいけないくらい、ボロボロだった。
もしかすると、彼女が犯したこれらの過ちの全ては、傷ついて、ボロボロで、今にも擦り切れそうな彼女が、ただ一人自分の感情をぶつける事が許される私に対して、救いを求める、叫びのようなものだったのかもしれない。

『辛いの! 寂しいの! 苦しいの! 悲しいの! だからお願い、縁寿、私の気持ちをわかって!
お願い、私を助けて!』

そう心で思っていながらも、立場上、関係上決して口に出す事ができず、一人心の中に溜め込む事しかできなかった、嘆きと悲しみの叫び。

それなのに、一度も庇ってあげる事もできなかった。しようとも思わなかった。
慰めてあげる事もできなかった。しようとも思わなかった。
一度だって、心を開いてあげる事も、目の前で笑顔を見せてあげる事すら、できなかった。
しようとも思わなかった。
それどころか、私は傷口に塩を塗りこむような罵声を、浴びせかけた。

たった一人の理解者のはず、彼女の最後の希望の砦のはず、それなのに、彼女を冷たく突き放した。

だって、私には”愛”が無かったから。

彼女を、六軒島殺人事件の犯人だと私は決め付けていた。
自分の親の敵であると、決め付けていた。
犯罪者の娘として迫害を受けるのも、今までの不遇も全部、彼女のせいだと決め付けていた。

”愛”がなければ見えない。

愛が無いから、私は、彼女の行動全てを、悪意として捉えてしまった。
私のために彼女が行なった、あの厳しい教育も、『優秀な譲治お兄ちゃんに対する未練』だと決め付け、その裏にある愛情に気づきもしなかった。

その結果、絵羽伯母さんは完全に壊れてしまった。
誰からも心を閉ざし、いつしか彼女は私を愛することの努力すら諦めてしまった。
そして、孤独と迫害という過酷な拷問の末、無残な最期を遂げる事になってしまったのだ。

もし、私が一度でも、彼女の心の痛みに気づいてあげられてたら。
もし、一度でも、彼女が自分と同じ事に気づいてあげられてたら。

私は、譲治お兄ちゃんの代わりになれただろうか?
いや、他の誰の代わりでもなく、たった一人の娘に、そして、仲のいい親子に、かけがえの無い存在になることはできたのだろうか?

私は、できたと思う。

どんな境遇だろうと、どれだけ世間から迫害されようとも、心に傷を持つ物同士、お互い支えあって。
強く、明るく、穏やかに、最後まで生きていけただろう。

でも、当時の私は、彼女を受け入れる事はできなかった。

それは、決して忘れる事のできない過去の過ち。
背負い続けなければならない私の罪。

だから、お兄ちゃんは、そんな『私』に対して、偽書の中でお説教をしたのだ。
真里亜お姉ちゃんを通じて。

さて、フェザリーヌが帰ってくるまで、まだ結構かかりそうだな。

そう思った私は、もう一度、読み直してみる事にした。
さっきまで読んでいたあの偽書を、もう一度声に出して朗読してみる事にした。

確かに、朗読を再会するのは抵抗があった。
偽書は、意地悪にも私の心の中の、触れられたくない場所に触れ、その傷口をうずかせる。

でも、私は、もう一度声に出して朗読する事に決めた。
そうしないと、何も進まないような気がしたから。

これは、私に課せられた義務だ。
過去の痛みがなんだ、傷口がなんだ!
痛みを恐れて、逃げ出していては、この偽書の中の真実に近づく事ができない。

事件の真実に近づく事ができない。

だから、朗読を再開した。

朗読を始めると、目の前に現れるのは、先ほどの偽書の中の魔女の貴賓室。
私は、過去にマモンを呼び出した時と同じように、魔力をもってそれを具現化した。

目の前にいるのは、心優しいお兄ちゃん。

私に、世間に、そして世界の全てから非難されている、かわいそうな絵羽伯母さんを、黙って見ていられなくなって弁護しようとする、心優しいお兄ちゃん。

「その言葉を待ってたぜ!
今までの裁判が、あまりに一方的だったもんで、ちょうど、止めさせようと思ってたところだ。
弁護の仕事、確かに引き受けたっ!」

さらに、目の前に現れる影。
それは、幼い頃の私だった。
黒き魔女に覚醒し、絵羽おばさんを傷つける、私だった。
その優しさを理解できない、偏狭な私だった。

「お兄ちゃん邪魔だよ。弁護なんて要らない!
絵羽伯母さんの罪は縁寿が一人で直接裁くの! 邪魔しないでよ、きひひひひひ、痛っ。」

戦人お兄ちゃんが、黒き魔女の私を小突く。
それは、暴力とは違う、優しく暖かく私を諭すようなものだった。

「馬鹿野郎。いいか良く聞け縁寿。
お前の気持ちはわかるし、言い分もよくわかる。」

無能なお兄ちゃんにはわからないよ。」

「いや、わかる。
お前が決して、恵まれた立場にいなかった事だって俺だってよくわかるさ。
だがな、お前と同じように絵羽伯母さんにだって言い分はあるんだ。
だから俺は弁護する。」

「あるわけないよ。」

「いや、ある。
誰にだって、言い分はある。
例え、どれだけどうしようもない極悪人でも、一言くらいは口を利く権利がある!
ましてや、絵羽伯母さんはそんな極悪人なんかじゃねえ!
お前に残された、たった一人の身寄りだろうがぁっ!」

「あんなの、私、要らない!」

なんで、あんな人をお兄ちゃんが庇うのか。
黒き魔女の私は、不満の篭った視線で、私はお兄ちゃんをにらみつけていた。

「お前がどう思おうが、俺の絵羽伯母さん弁護の意思は変わらない。」

「そんな必要なんかない。」

「そりゃ、いつものお前見てりゃ絵羽伯母さんに非があるのは当然だし、償うべき罪があるのはわかる。
泣いてるお前を、叩く権利なんて、誰にも無いし、それがとてつもない重罪だって事は、俺だって知っているさ。
だけどな、だけどな、だけどな!
俺は、いつ何時、どんな理由があってもなあ、一方的な私刑は許さねえ。
反論の機会すら与えない、一方的な断罪なんて、許さねえ!
裁判というものはなあ、原告のお前だけで決まるものじゃねえんだよ!
証人、裁判官、弁護士、そして原告本人にも、弁解の権利はある!
色々な意見の人間が集まって、議論して、そうやってようやく結論が出るものなんだよぉっ!」

「うるさい、うるさい、うるさあいっ!絵羽伯母さんは有罪だ! 誰が何と言おうと有罪だ!
この真実以外に、何が必要なの? 何が不満なの、戦人お兄ちゃんは?」

「不満も不満、有罪、有罪、身内をそこまで一方的に……って、その点に関しちゃ俺も偉そうなことは言えないんだがなあ。
だからこそ、俺は大いに不満だ!
昔の俺と、同じ間違いを犯そうとしているお前が、
身内を信じられない、一方的に憎もうとしているお前が、大いに不満なんだ!
今のお前はなあ、親父に一方的に謝罪を求める昔の俺を見てるみたいで、許せないんだよ!
相手の言い分を聞きもせずに、自分の言い分を強引に押し通す、そういう考えが許せねえんだよ!」

「戦人お兄ちゃんと、縁寿は違うんだよ! 昔の戦人お兄ちゃんは、父さんと仲良くしてたじゃない! 霧絵母さんとだって。
そんな戦人に、絵羽伯母さんに何の愛情もかけてもらえずに、ただ痛めつけられ、いじめられている私の気持ちがわかってたまるものか!
一緒にしないでよ! 戦人お兄ちゃんにはわからないんだ!
戦人お兄ちゃんには、私の気持ちなんて、絵羽伯母さんに憎まれ続ける私の気持ちなんて、わからない、わからない、わからないっ!」


「これこれ、静粛にせんか2人とも!」

ベアトリーチェが、私達を制止する。
しかし、傍観者の私を除いた『私達』には全く静まる気配すらない。

「本当に、お前は全く愛されてないのか? お前はそんな風に思ってるのか?
絵羽伯母さんは、確かに不器用だけどな。それでも、絵羽伯母さんなりに頑張ってると俺は思うがなあ。」

戦人お兄ちゃんは、ふぅとため息をつくと、悲しそうな視線を黒き魔女に向ける。

お兄ちゃん、そんな悲しい目で私を見ないで!
私、今ならわかるよ、全部わかるよ! わかってあげられるんだよ、私!
絵羽おばさんの心の痛み、全部知ってるんだよ! お兄ちゃん!

朗読者の私の叫びはお兄ちゃんに届かない。

しょせん今の私は朗読者、物語の外の世界の人間。だから、いくら本の外で叫んだところで、本の登場人物のお兄ちゃんに声が届くわけが無い。。

でも、黒き魔女の私は、そんな私の気持ちとは裏腹に、怒りと憎しみを込め、大きく声を張り上げた。

「そんなの、他人だから言える無責任で勝手な解釈だよ!」

と。

お兄ちゃんは、黙って少し考え事をするような仕草をする。

何かを思い立ったのか、右手を肩の高さまで上げると、前方へと水平に、ゆっくりと私の方向に向け伸ばす。
そして、人差し指でビシッと私を指さした。

「ならば復唱要求だ! ”縁寿は、絵羽に愛されてない”!」

黒き魔女の私は、口を開き、ゆっくり、厳かに復唱しはじめる。

縁寿は

そう、偽書の中の真里亜お姉ちゃんと同じように。



続く
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テーマ : うみねこのなく頃に
ジャンル : ゲーム

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プロフィール

パンダ5

Author:パンダ5
笹の葉を食う頃に礼にようこそ!
現在、朱志香犯人説解を作成中。ベアト理御=朱志香=うみねこのなく頃に原作者、狂言殺人事件説とその動機は「マスゴミにバラバラにされた信頼関係」というラインで考えています。
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イラストのジャンルは ひぐらし・うみねこ・ボカロなどです。
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オリスク作者ドルチェさんのブログ。
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